USA.gov アメリカ政府公式サイト

調べごとをしていたら、アメリカ政府の公式ウエブサイト、USA.govに行き当たった。なかなか良くできていて面白いので、ついつい長居をしてあれこれ触ってみた。ちょっと紹介してみようと思う。

アメリカは、政府業務のインターネット化は日本よりはるかに進んでいるので、このサイトでできること、得られる情報は膨大にある。

”Get it done online, not in line!”(行列に並ばず、オンラインで済ませよう!)のページに行くと、出来ることがアルファベット順に並んでいて、A: Address Changes When You Move (住所変更)に始まり、Z:Zip Code Lookup(郵便番号検索)まで、 ざっと数えると160くらいの項目がある。

パスポートの申請、免許証の更新、税金の申告、リコール商品情報、各国通貨の為替換算表(あらゆる通貨が出てきて、例えばエストニアの通貨はKroonだなんてことも分かる)、自動車の燃費比較、安全性比較、どの銀行が預金保障されているか、臓器ドナー登録、特許情報、歳入歳出情報、およそ思いつくことはだいたい網羅されている感じ。

面白いものをいくつか拾ってみる。Beach Temperatures は、ビーチの海水温度のデータを教えてくれる。例えば今日、ワシントン郊外チェサピーク湾は水温28度と泳げる温度。少し北に行ってニューヨーク郊外ロングアイランドは22度くらい、泳ぐには低すぎる。

Alcohol Calorie Calculatorアルコールのカロリー計算機。飲んだアルコールの種類と量を入力するとカロリー計算をしてくれる。食生活や健康維持に関するメニューはたくさんあって、Diet and Nutrition(ダイエットと栄養)やMenu Planner(メニュー提案)などは食生活を改善する情報が盛り沢山。Food Safety(食品安全)情報も得られるし、BMI指数(肥満度)を計算できるBody Mass Calculatorもある。

Do Not Call Registoryというサービスは、ぜひ日本でも導入してほしいもの。自分の電話番号を登録しておくとセールス電話がかかってこなくなる仕組み。アメリカのセールス電話は、こちらがHelloとかYesとか何か声を発すると先方の録音テープが回り出して勧誘の内容を話し、最後に「もっと詳しいことは1を押して下さい」という機械的なものなので、私は勉強のつもりでセールス電話を聞いているのだけど、日本にこのシステムがあったら、絶対に登録すると思う。登録後31日以上たってもセールス電話がかかってくるようだったら、同じサイトに苦情申し立てのフォームも用意されている。

Green Gas Calculator温室効果ガス計算機)は、自分がどのくらい温室効果ガスを発生させているか、どうしたら削減できるかを試算できるサイト。試しにやってみた。クルマを何台持っているか、燃費がどのくらいのクルマか、月に何マイル走るか、月平均のガス料金、電気料金、ゴミのリサイクルはどのくらいしているか、などの質問に順に答えていくと、自分が生活しながら発生させている温室効果ガスの量を試算してくれる。アメリカの平均的な世帯が年間に発生させるCO2は、41500 pounds(約18.5トン)だとか。わが家を試算してみたら、通勤にクルマを使わないし、アパート暮らしは平均的な家よりずっと狭いし、ゴミは分別しているし、などなどで平均的な世帯の半分以下の19700 poundsだった。そこから暖房やエアコンの設定温度を変えたり、照明の電球を省エネタイプに代えたり、あるいはクルマをハイブリッドなどに代えるとどのくらいCO2が削減できるかも試算できる。なかなか良くできたCalculatorだった。

Prisoner Locator 収監されている囚人がどの刑務所で服役しているかを調べられるサービスもあった。

Resume Builder 履歴書を上手に作るための情報を集めて解説している。

Retirement Estimator 年金試算など老後の資金を試算できるサービス。

拾ってみたのはすべてPCからアクセスできるもの。この他にモバイル用もたくさんあって、例えばリコール商品情報、ガソリン車以外の代替燃料車が燃料補給できるスタンドのLocator、FBIの指名手配者の画像と情報、NASAの活動を画像・映像で見られるサービス、紫外線情報などなど、モバイルならではのコンテンツは、現在22種類が用意されている。

各省庁や政府機関がそれぞれに用意しているサービスを1箇所にまとめたポータルサイトに過ぎないのだけれど、シンプルで、整理されていることで、とれもユーザーフレンドリーな感じを受ける。

日本にもe-Govという行政ポータルサイトがある。 http://www.e-gov.go.jp/
出来ることの全体像が見えにくいのと、法令を調べたり、各種申請をインターネットでするためのサービスが主みたいで、なんとなく親しみにくい。もちろんモバイル版はないし、twitterFacebookYouTubeのボタンもないしね(USA.govにはある)。

だいたい、電子申請の仕組みはWindowsのみ。Macに対応していないーー多いよね、日本のお役所や公共機関のMac非対応は。古いよねえ... 

ついでに苦情をひとつ。東京の留守宅に届く郵便物を義兄の家に転送してもらっている。転送期間は1年なので更新が必要になる。更新は「インターネットで出来ますよ」と郵便局の窓口で言われたので安心していた。で、インターネットから更新しようと情報を入力していくと、最後の最後に「確認のため、この番号に電話をして下さい」というメッセージとともに0120で始まる番号が表示される。

料金着信払いは確かに住民サービスだけど、0120番号は海外からはかけられないのですよ。他の番号は表示されないので結局しかたなく、義兄に頼んで日本で処理してもらった。

先日、こちらの郵便局で転送サービスについて聞いてみたら「海外にも転送するよ」と教えてくれた。日本の郵便局は、もちろん対応していない。海外赴任者は100万人を超えるそうで、その家族、留学生を含めると日本の人口の2%近くが海外在住だと推定できる。これは大きな数字だと思う。そういう人たちを想定したサービスは、日本政府には望めないのですかね...(まずい、愚痴で終わってしまった!)