ワシントン地下鉄衝突事故

ワシントンで大きな地下鉄の衝突事故がありました。日本でも大きく報道されたようですね。月曜日の帰宅ラッシュが始まる午後5時頃のこと。私もちょうどその時間に地下鉄に乗っていました。といっても、路線が違うので事故に巻き込まれたわけではありません。

私が乗っていた列車もノロノロ運転になって止まったかと思うと、急にスピードを上げて走り、また止まり、と、なんか変だなあと思っていて、帰宅してテレビをつけたら大変な騒ぎになっていました。

ニュース報道は日本の大きな事故のときと同じで、通常番組を中断してニュース特番。現場近くと、地下鉄の本部のあるビルの前、けが人が運ばれている病院の前など数カ所からの立ちレポと、スタジオのキャスターが最新の情報を伝えるという感じ。

違うなと思ったのは、被害者の名前を公表しないこと。日本の事故だと「死亡が確認された方は・・・」とか「××病院に搬送された方は・・・」とか、被害者の名前をリストにして読み上げますよね。こちらでは、問い合わせの電話番号を何度も報じて、家族や知り合いに事故に巻き込まれた可能性がある人はこちらに問い合わせて名前を告げてください。被害者と合致すれば情報をお知らせします・・・みたいな対応でした。

翌日以降の新聞やテレビではほとんどの亡くなった方の写真や家族のコメントなど出ていたので、本人や家族の同意があれば公表されるということなのでしょう。

病院に運ばれる人たちの様子を見ていると、現場で怪我の程度に応じて対応を分けているのがよく分かる。命にかかわる重篤な症状の人には赤いテープ、骨折など素早い対応を要する人は黄色のテープ。ここまでの人は救急車で救急病院(いわゆるER)に運ばれる。自分で歩ける程度の軽い怪我などの人は緑色のテープを首にまいて、バスで病院に搬送されていた。

事故から2日たって、衝突した後続の地下鉄は自動運転モードでブレーキがかかった状態で衝突したらしいことが分かった。死亡した40代の女性運転手の運転ミスではなく、システムの誤作動というか暴走が原因ではないかとされている。衝突した列車は1970年代に作られた第一世代の古い車両で、まだ同じ時代の車両が300台は走っているとか。今日も地下鉄を使ったけれど、先頭と最後尾の車両は空いていたなあ。

運転手なしでも自動運転で制御される最先端のシステムと言われていたのに、この惨事。300台の古い車両はできるだけ速やかに最新の車両に入れ替えるようNTSB(National Transportation Safety Board=国立交通安全委員会)は勧告しているそうです。

事故関連のニュースを見ていると、関連する行政機関や組織の責任者が出てきて話をするのですが、その顔ぶれが多様です。まず、ワシントンの市長はフェンティさんという40代アフリカ系(黒人)男性。ワシントンメトロの総裁もアフリカ系男性。ワシントンの警察署長は女性(白人)、見るからに切れ者という感じの女性です。事故調査を指揮するNTSBの責任者も女性でした。この事件とは関係ないですが、ワシントンの教育長はアジア系女性のリーさん。だいたいみんな40代でしょうか。自分の考えを自分の言葉で発言し、人間味のあるコメントも多くて、型にはまった会見が多い日本とは大違い。興味深くニュースを聞いてしまいます。

ワシントンは全米から観光客が集まる夏休み期間に入っていて独立記念日も近い。ごく一部とはいえ地下鉄が正常に動いていないと、とても不便。早いとこ原因が解明されて通常の状態にもどってほしいところです。