DMVにて:申請と交通法規テスト

免許証の発行を担当する役所はDMVと呼ばれ、Department of Motor Vehiclesの略。DMVは朝8時から開いている。免許証申請の当日、ややこしい手続きは朝一番をモットーとしている我が家ではもちろん8時を目がけて出かけていった。すでに行列ができていた。
まず、informationと表示された受付を預かる中年の女性に、何をしにきたかを告げて持ってきた書類を見せる。この受付の女性を突破しないと次に進めない。書類が見やすく揃っていないだけで「もう一度出直して」と追い払われてしまったりする。書類を見て彼女が納得すると受付番号の札を出してくれる。そうしたらずらっと並んでいる椅子に腰掛けて番号が呼ばれるのをひたすら待つ。

上手くすれば10分くらいで番号が呼ばれる。1時間待たされるかもしれない。申請をさばくブースは20ほど並んでいるけれど、1件の申請処理に10分や15分は普通にかけるし、番号を呼んでも人が来ないとすぐに次の人を呼んだりはしないで、5分10分と何もしないでただ待っている担当者もいる。ようやく番号が呼ばれても、融通の利く担当者に当たるか、ちょっとのことで引っかかってうるさいことを言い出す担当者に当たってしまうか、もう幸運を祈るしかない。
これはアメリカの役所とか銀行とか、どこでもそう。担当者には大きな権限が与えられていて、この人は危険だと判断されたらNOと言われて申請が通らないことがある。アーリントンのDMVでNOと言われ、その足で隣の市のDMVに行って同じ書類を見せてOKと言われたというケースもあるという。噂ではアーリントンは特に厳しいと言われている。

さてさて、私の場合は、フレンドリーな感じの若い女性の担当者で、書類をざっと見て「OK、視力の検査よ」と検査機を指さし「3列目の文字を読んで」と言われた。大文字のアルファベットが10個くらい並んでいるのを読み上げてOK。規定では視力検査は40問中20問以上を正解しなければならないのだが、3列目が全部読めれば20問以上相当ということらしい。

次にKnowledge Exam:交通法規のテストを受ける。まず交通標識のテストが10問。これは全問正解しないと次に進めない。交通法規に関するテストは25問出て20問正解で合格。Test Areaと書かれた一角があって、その近くの椅子に座って待つこと30分くらいだったか、名前を呼ばれて行くと「5番のブースで」と言われる。試験はモニターに問題が出てタッチパネルで4択から選んで答える。「submit 」(決定)を押すまでは答えを変えられるし、時間制限はないので、慌てないことが肝心だった。
(聞いた話によるとカリフォルニア州では日本語で試験が受けられるそうです。バージニア州スペイン語では受けられるがそれ以外の言葉はなし。辞書の持ち込みは書籍の辞書に限りOKだそうです。でも実際に道を走るには交通標識も表示も英語だからね。英語で分からないことには...)

この試験を受けるためにバージニア州の交通法規、真面目に勉強しましたよ。幸いDMVのウェブサイトにSample Examsというページがあって模擬試験を受けられる。試験のイメージをつかむためにずいぶんお世話になった。(下記サイトです。お試しあれ)
http://www.dmv.state.va.us/dmvweb/kats/sne_intro.asp
標識は全問正解が条件だけど、標識は簡単だからと思っていたらsampleにはなかった標識が出てちょっと焦った。それでも、まあ問題なく全問正解。続いて交通法規。25問が出題されるが、順番に答えなくても自信がない問題はSKIPできる。SKIPした問題はあとでもう一度出てくるのだが、その前に20問正解していればOKなので、完璧に自信の持てない問題はSKIPした。2問SKIPしたが正解が20問に達したところで「合格!」と表示されて試験終了。結局SKIPした問題は答えずに済んだ(その問題の答えはいまだに知らない。いいのかな?)。

アメリカの交通法規で日本と違うのは、まず歩行者優先が徹底されていること。優先のことをRIGHT OF WAYというのだが、交差点で歩行者が渡ろうとしていたらクルマは絶対止まらなければいけない。違反すると最大500ドルの罰金。それからスクールバスが要注意。ライトを点滅させて児童の乗降をしていたら、後続車はもちろん、反対側の車線のクルマも止まって児童の乗降が終わってバスが走り出すまで、走ってはいけない。免許証は16歳から持てるが19歳以下には細かい規定がある。例えば年齢によって同乗者の数を制限していたり、大人は禁止されていない携帯電話の使用が禁止、交通違反をしたときの罰則も19歳以下は別に規定があるなど。大人の私には関係ないだろうと思っても、試験に出るから一生懸命覚えた。試験が終わって、すっかり忘れた。

というわけで、無事に交通法規の試験を一発でパスした。アメリカ人で始めて免許を取る人にはここでLearner's Permitという仮免許が発行されて、免許証所有者が同乗していれば一般道を走っていい。というか、ロードテストを受けるために30日間の練習期間が設定されている。私たちのように他の国の免許証を持っていれば30日を待たずにいつでもロードテストを受けられるのでLearner's Permitは発行されない。ロードテストの準備ができたら来てね、といわれてこの日は終了。