年収10万ドル超の富裕層調査

Isposという調査会社が1977年以来続けている年収10万ドル超の富裕層を対象にした生活調査の結果が発表されて、いくつものサイトで取り上げられている。

簡単に概要をまとめると、今年の特徴は電子ブックやタブレットコンピュータの影響で「読まれている雑誌」数が16%も減少したこと。テレビを見る時間はほぼ横ばいの17.6時間、インターネットをする時間は12%も前年より増えて25.3時間になった。20代30代の富裕層は、一般に考えられている以上に広告を見ることに興味を持っていることも分かったという。

投資熱は覚めていて、今年新たな投資を考えている人は前年より7%減。海外旅行やクルーズを計画している人も前年より2割近く減った。逆に彼らの関心は家庭に向いている。今後1年の間に新しい家族の誕生を予定している世帯は前年より13%増えて220万世帯だとか。また、新車を購入予定の富裕世帯も24%増えている。

年収10万ドル以上の富裕層がアメリカ経済の消費を支えている、と調査概要は要約する。年収で10万ドル以上を稼ぐ世帯は、アメリカの全世帯の21%に過ぎない。この21%の世帯収入は、アメリカの全世帯の総収入の60%を占め、アメリカの富の70%を所有していると、最後にレポートは付け加える。格差社会アメリカの実像ですね、これが。

ここで気になるのが年収10万ドルに満たない残りの79%だ。アメリカの世帯年収のMedian(中間値)は5万303ドル(2008年)。Isposの富裕層調査の対象になるには、この倍を稼がなければならないわけだ。

アメリカの統計では必ずついて回る人種ごとの世帯収入を確認してみる。
白人(ヒスパニックを除く)5万5530ドル、ヒスパニック3万7913ドル、黒人3万4218ドルと、ヒスパニックと黒人世帯がガクンと総計を大きく下回る。ところで、アジア系だが、なんと白人世帯を1万ドルもしのぐ6万5637ドルで、人種別では最も裕福だ。アジア系は勝ち組に分類される。

そんなわけで、所得格差は人種格差の面もあり、差は徐々に広がっていて深刻なのだが、人種格差がないのに格差がどんどん広がっていく日本のほうがずっと深刻かな?