ワールドカップと独立記念日

遅ればせながら、6月29日のパラグアイ戦、惜しかったですね。

こちら東部時間で朝10時から始まった試合で、その時間は私がまとめ役を務めている勉強会と重なっていたためビデオ予約をして外出、12時30分頃戻ってみたら、ちょうどPK戦の始まるところだった。だから120分の“死闘”とやらは抜きにいきなりPKでパラグアイがベスト8に進むところだけを見ちゃったわけで、余計に悔しかった。

アメリカのW杯中継のESPNは、Coolest way out:一番カッコイイ負け方と評し、PKで勝負をつける試合では「Someone has to be unfortunate 誰かが不運を背負わなければならない」と言っていた。

その後にESPNのウエブサイトに掲載された日本の評価はとても高くて、
Japan was faster, more creative and defended better than Paraguay for the entire match, but just couldn’t find the goal.ーー日本は試合全体をとおしてパラグアイよりスピードがあって、クリエイティブで、よく守っていた。ただ、ゴールだけがなかったーーというもの。

早朝5時半まで続いたデンマーク戦の視聴率が41%にも達したことや、大阪では道頓堀川に飛び込む人が大勢いたことなども紹介されていました。

パラグアイ戦は深夜に60%を越える視聴率を記録したのですよね。これも記録ですね。今回のワールドカップは、日本とは時差13時間のアメリカ東部から観戦ですが、テレビの中継を見ながら、膝の上にiPadをおいて、いくつかのウエブサイトに設けられたTwitterなどの書き込みを読んでいました。

特に第3戦のデンマーク戦南アフリカ現地で観戦している人たちのレポート、日本で見ているファンの応援メッセージ、さらに世界中に散らばって観戦している人たちが「 ロンドンから日本ガンバレ!」とか「シカゴから。仕事中ですが、仕事が手につかない!」「カイロからも、ガンバレ!」とかメッセージを寄せていて、その臨場感がとても楽しかった。

話は変わりますが、アメリカは今週末の独立記念日に向けて、お祭りの雰囲気が盛り上がっている。7月4日独立記念日は、各地でアメリカの建国を祝うパレードや花火大会が行われ、家族が友人が集まって花火を見ながら庭でバーベキューパーティーをするのがポピュラーな過ごし方。星条旗をアレンジしたシャツやバンダナを身につけ、ナプキン、紙皿も星条旗パターン。赤青白で飾られたケーキやクッキー、コーンチップスまで登場する。

首都ワシントンでは、昼頃から各州代表のマーチングバンドのパレードがテレビ中継され、夕方からは国会議事堂前の芝生で記念コンサート。コンサートが終わると盛大な花火大会が始まる。

花火大会は、ほとんどの町で実施されるので、北西に視界が開けた我が家のベランダからは、最大規模のワシントン中心部の花火は見られないのだが、その代わりに7カ所くらいの町で花火が一斉に上がるのが見られる。なかなか壮観。

独立記念日のさまざまな行事に参加してみると、実に多くの人々が、独立宣言の有名な箇所、All men are created equal〜に続く一節を一緒に声に出して読み上げ、胸に手を当てて星条旗に忠誠を誓い、国歌が始まれば大合唱になる。アメリカ国民であること、patriot(愛国者)であることを誇りを持って確認する日が独立記念日という感じ。

「日本にもこれに似た記念日はあるの?」とアメリカ人の友人に聞かれて考えてみた。建国の日というのはあるが、国民レベルで楽しむイベントはない。君が代や日の丸に高揚することもあまりない。patriotを愛国者と訳すなら、日本ではpatriotは、ちょっと距離をおいてつきあいたい感じの人たちだ。

「まあ、独立を勝ち取った歴史があるわけではないし、単一民族でわざわざ国民の一体感を確認する必要もないからなんでしょうね」と日本に詳しい別の友人は言う。

友人 「じゃ、日本人としての一体感を感じるときって、どんなとき?」
私  「そうだな、ワールドカップの難しい試合に勝った時かな」

そう、私の知る限り「ニッポン」に日本人が最も高揚して一体感を感じた瞬間は、2002年と2010年、勝利でグループリーグ突破を決めた試合の日だったと思う。

「スポーツで一体感を持てるのは、多分とても健康的なことなんじゃない」と、話をしていたアメリカ人の友人は、二人とも納得していた。

明日がアメリカ独立記念日。傍観者ながら、アメリカのお祭り騒ぎにちょっと参加してこようと思っています。