サッカー不人気のアメリカでワールドカップを見る

サッカーがあまり人気がないアメリカでワールドカップを見る。実は、けっこう面白い。

開幕前は、日本のメディアのように代表チームの一挙一動が報道されたりしない。USA代表チームに誰が出ていて、どこにいるのか、まるでニュースにならない(選手たちは準備に集中できるよね、きっと)。

この時期のアメリカ、NBAのファイナルが行われている。LAレイカーズボストン・セルティックスが一進一退の息詰まる競り合いで、スポーツニュースのトップはNBA。また、アイスホッケーNHLのプレーオフ終戦とも重なった(シカゴが優勝)。さらにメジャーリーグでは、地元ワシントン・ナショナルズ鳴り物入りで入団した新人が、デビュー戦で14奪三振の新記録。万年最下位チームが大いに盛り上がっている。

そんなわけで、開幕前にはワールドカップの話題は、スポーツニュースの最後にちょっとだけ。
アメリカ以外の世界各地で盛り上がっている南アフリカのワールドカップ開幕が近づいています」と、必ず「アメリカ以外では盛り上がっている」という前振りがつく。それでも最近はサッカー人気が盛り上がってきて「子供が裏庭でやっている遊び」と思っている人は少なくなっている、という解説もあった。

いよいよワールドカップが開幕した6月11日金曜日からは、さすがに様子が変わってきた。面白いなと思ったのは、世界中の移民がいるこの国では、町を歩いていると、実にさまざまな国の代表ユニホームを着ている人たちを見かけること。メキシコ、アルゼンチン、ブラジルなど中南米はもちろん、イタリア、フランス、スペインなどヨーロッパ系もかなり見かける。土曜日に買い物にいった韓国系スーパーでは、スタッフ全員が「Go Reds!」と書かれたTシャツで働いていた(浦和レッズじゃありません。韓国代表チームです、もちろん)。アメリカとイングランド戦のあった土曜日は、イングランドの旗をはためかせて走るクルマも見かけた。

日本で南アフリカからの中継を見ようとすると、深夜から早朝の時間ですよね、寝不足の人、多いでしょうね。アメリカ東部時間では、第一試合が朝7時30分から、第二試合が午前10時。現地の夜の試合は、こちらでは午後2時30分のキックオフ。寝不足にはならずに全試合が観られるという、サッカー好きの私には何とも幸福な時差なのですが、それも善し悪しで、昼間、他のことをすべき時間に、仕事が手につかない...

こちらでワールドカップ中継をしているスポーツ専門局ESPNが使っているキャッチフレーズは、「One Game Changes Everythingーひとつの試合がすべてを変える」

昨日のUSA対イングランド戦は、まさにOne Play Changed Everythingな試合でした。イングランドのキャプテン、ジェラードが前半3分に鮮やかなゴールを決めて、イングランド圧勝かと思ったら、40分にUSAデンプシーのゆるゆるとしたシュートをイングランドのキーパー、グリーンが取り損ねて、転がったボールがゴール。

解説は「Slowest goal ever」(史上最も速度の遅いゴール)と茶化し、キーパーのミスを「今夜も明日の夜も眠れず、どうしてあんなことになったんだろうと一生考え続けるようなミス」と言っていた。
USAにとっては「ごっつあんゴール」ですから、試合後の再生映像ではアナウンサーが「ほら、ここで、Merry Christmas!!」なんて言っていた。(Merry Christmas!はこんな風にも使うんだと勉強になっちゃんた)

ニュースでは、アフガニスタンにいるアメリカ軍兵士たちがゴールに沸き返る映像と、ニューヨークのスポーツカフェが大騒ぎになる映像、さらにロンドンの広場でイングランドの人々が落ち込む映像を続けて流して「Afghanistan went crazy, New York went crazy, and London went crazy for another reason」とコメント。

イングランドのキーパーのハンブルシーンは、どのメディアもトップで扱われて、ちょっとかわいそうになるくらい。彼にとっては本当に「One Game Changes Everything」でしたよね。

ちょっと面白いサイトを見つけました。ワールドカップ出場国のFIFA順位を、日本のJリーグ(J1,J2)、NFLなど日本のリーグの順位で置き換えてみたという試み。
http://ameblo.jp/tatoetemita/entry-10559596009.html

J1トップの清水エスパルスをブラジル、2位名古屋グランパスがスペイン、3位鹿島アントラーズポルトガル、というふうに置き換えていって、FIFAランキング45位の日本は、NFLツエーゲン金沢にあたるという。つまり世界に出ていくと日本代表は、ほぼ誰も知らないチームに近い。

サッカー好きのみなさん、ぜひ覗いてみてください。かなりはまるサイトです。
ワールドカップの楽しみがひとつ増えた感じ。

いよいよ明日(日本時間では今日)、柏レイソル、じゃなかったカメルーンと対戦する日本代表。世界をびっくりさせてほしいですね。