ヴァージニアワイン

Mac5102010-05-11

シャーロッツビルへの小旅行の続きですが、ヴァージニアのワインについて。

ヴァージニア州のワイン作りの歴史はアメリカで最も古い。前項にも登場したトマス・ジェファーソンは、独立直後のアメリカの駐フランス大使としてフランスに5年ほど暮らした経験から、自分のプランテーション、モンティチェロMonticelloでヨーロッパから持ち込んだ幾種類ものブドウの苗を育ててみたが、当時はあまりうまくいかなかったらしい。ジェファーソンが栽培を試みたブドウの品種が、ある資料では200種類だったり、別の資料では20種類だったり定かではないのだが、とにかく彼はワイン作りに情熱を傾けた。その後、次第に土地にあった品種が見つかったり改良されて広くワイン作りが盛んになったが、20世紀に入って、アメリカには1920年代の「禁酒法」の時代がくる。

この時代にアメリカでは、ワイン作りとブドウ栽培が途絶えてしまって、再びワイン作り産業が活性化するのは1960年代以降だったそうだ。アメリカでワインといえばカリフォルニアがあまりにも有名ですが、いくらでも太陽の光があって気候が一定しているカリフォルニアに比べると、ヴァージニアはフランスに似た気候で、複雑で奥の深いワインが出来るのだそうだ。

とにかく州内にワイナリーが160もあって、特に多いのがシャーロッツビルの周辺。ブルーリッジBlue Ridgeと呼ばれる山地の裾野に広がる丘陵地帯をクルマで走ると、あちこちにワイナリーの看板が現れる。ワイン作りとブドウ栽培技術の研究も盛んだそうで、州立ヴァージニア工科大学(ヴァージニア・テック)は、一般には5年ほど前の韓国系学生の銃乱射事件で有名になってしまった大学ですが、ワイン作りとブドウ栽培技術の研究の最先端を行く大学だーーと、先日読んだ「Wine Country Mystery」のシリーズに書いてあった。

このWine Country Mysteryはヴァージニアのワイナリーを舞台にしたミステリーで、ストーリーも良くできているのに加えてワイン作りのことがきめ細かく書かれていて面白いので読んでいます(著者Ellen Crosby)。

そんなワケで行ってみたいと思っていたワイナリーにも寄ってみた。モンティチェロの周辺だけでも20もあるワイナリーからあれこれ調べて選んだのがKluge Estateというワイナリー。ファームショップがあってワインだけでなくランチも取れると書いてあったので。

シャーロッツビルの町から丘陵地帯を30分ほど走ったところにあるはずだったのですが、途中の山道が工事中で一方通行。1キロくらいの長い一方通行だったせいかもしれないが、20分くらい待たされたあげくに「Pilot Car, Follow Me!」という看板を荷台に掲げた先導車に先導されて山道を走ることになった。途中ワイナリー方向へ曲がろうとすると、今度は通行禁止の表示。これをさらに迂回して、結局到着まで長い長い山道を走って1時間もかかった。でも着いたところは緑の林の中のなんとも気持ちのいい場所。木立に囲まれた屋外のテーブルで(写真)ワインを飲みながらサラダ、手作りのパテ、チーズ、フランスパン、オリーブなどが盛り合わせになったファームランチを食べました。

私はお酒に強くないので普段はワインを飲まないほうなのですが、こういうセッティングでならワインは大好きかもしれない。しかし、ワイナリーで飲むワイン、ブリュワリーで飲むビールなど、産地で飲むお酒はいつも格別に美味しいですよね。ワイナリーをはしごしたり、休みのたびにワイナリー巡りをする人がいるというのは分かる気がする。

ゆっくりランチをしたあとは、シャーロッツビルのすぐ西側から北に100マイル(160キロ)続く、シェナンドー国立公園を抜けていくスカイラインドライブを走って新緑を満喫してから家路に着きました。

シャーロッツビルへの旅行は、建国の父たちの足跡を辿り、ワイナリーでワインを試飲して、シェナンドーのスカイラインドライブを走るのが一般的なコース。私たちもまさにそのルートを辿ったわけです。

いやしかし、ヴァージニアワインは美味しい! 我が家から1泊2日でなくても日帰りで行けるワイナリーはたくさんあります。ワシントン方面にお越しの際は、ぜひ!