ワシントンの桜祭り2010

Mac5102010-04-03

東京も桜が満開だと思いますが、ワシントンの桜も満開になりました。特に昨日4月1日から急に気温が上がって、快晴の天気が週末にかけて続きます。最高気温が25度を超える夏日になった4月1日に、ワシントンで一番の桜の名所、Tidal Basinと呼ばれる池をの周囲4キロほどの緑地に行ってきました。

ワシントンの桜は、1912年に東京都(当時はまだ東京市だった)から贈られた3000本と、1965年に贈られた3800本、それをもとに公園や名所を管理するナショナルパークサービスが大事に育てた桜が、もともと緑の多い首都を淡いピンク色に染めて、ワシントンが一年で最も美しい季節と言われます。

日本は全国に桜の名所があって「桜前線」なるものまで発表されて花見の場所には事欠かないですが、アメリカの桜の名所はそう多くはない。ちょうどSpring Breakと呼ばれる春休みと重なるので、ワシントンには全米から100万人もの観光客が押し寄せ、桜祭りが行われる3月下旬から2週間のあいだ、ワシントンのホテルはどこも満室。他州から友達家族が遊びに来ているの、と居候を抱える家庭も多い。

天気が良いと平日でも周辺道路は大渋滞。地下鉄の駅からTidal Basinにむけて人の波が続き、桜並木の下はそぞろ歩きながら写真を撮る人たちで埋まっている。ボート乗り場には大行列が出来て待ち時間2時間にもなる。公園内はアルコール禁止なので、芝生でお弁当を広げるピクニックはあっても、”飲んで歌って大騒ぎ”は起こらない。みんな桜の下を散策し、途中にあるジェファーソン・メモリアルやFDR(ルーズベルト)メモリアルなどの名所を見学し、あちこちの博物館や美術館で行われる催し物に参加したりと、ワシントン観光と花見を組み合わせて楽しむ。

私のこのコースのお気に入りはFDRメモリアル。リンカーンやジェファーソンなど他のメモリアル(記念碑)は、大きな建物の中に大統領像がおかれているだけなのに比べ、FDRメモリアルは、大恐慌の後に経済を立て直し、国民に向けた炉辺談話をラジオで放送し、4期という最長在任期間を誇る大統領だけあって、木々の間に彼の言葉が刻まれた石壁や当時の人々を描いた彫刻、大統領と愛犬、有名なファーストレディのエリノア・ルーズベルトまでいくつもの像が配置された広いスペースに水が流れる、とても気持ちのよい空間。博物館など他の名所から離れたところで地下鉄駅からも遠いので、滅多に行く機会はないが、桜並木の途中にあるので、花見の季節だけは人が集まる。

さて昨日、数人の友人と繰り出した花見の途中で(日本人が他にいなかったからなのか)、2回もメディアのインタビューを受けることになりました。ひとつは通信社のロイター、もうひとつはワシントンの地元フリーペーパー「Washingtonian」。どちらも簡単なインタビューでしたが、ロイターのほうは「ワシントンの桜が日本から贈られたものだということをどう思いますか?」という質問で、「I am very proud of my country, and I’m impressed with people here, ‘cos they take care of these cherry trees so well」とかなんとか答えたのですが、あとで「このインタビュー、日本でも放送されるかもしれませんよ」と言われて、ちょっと焦った。万一、下手な英語でインタビューに答えている日本のおばさんをテレビで見かけたら、私かもしれません。

実際、桜を大事に育てて増やし、桜祭りを運営しているナショナルパークサービスの仕事には頭が下がるし、桜の下で「この桜は日本から送られたものなんだよ」と子供たちに説明している家族連れの会話を耳にしたり、こちらの友人から「日本はワシントンにとても素敵なプレゼントをくれたわよね」など言われると、日本人であることにちょっと誇りを感じる季節が、この桜祭りのシーズンなのです。