Blizzard 2010 

Mac5102010-02-07

ワシントンは、この冬二度目の大雪に見舞われています。Snow Emergencyが宣言されて、テレビは外出を控えるように繰り返し伝えています。東京と同じで、普段あまり雪の降る都市ではないので、アメリカの首都は雪には弱いのです。

昨年12月クリスマス直前にも大雪があって、降雪量16インチ(40センチ)を記録して12月としては過去最大の降雪量でした。この時は、当初の降雪量予報が5〜7インチ(15センチくらい)だったのが、降り出してみたら大雪で、ほぼ3日間、都市機能が麻痺して、外出もできず買い物もできずに困った人が多かったようで、今回は事前の予報がとても慎重でした。

雪が降り出す前日の木曜日には、翌金曜日の休校を多くの学校が決めていて、前回にも増して大雪が降るので準備を怠らないようにとニュースが繰り返し放送していました。

我が家は木曜日がとても良いお天気だったので、仕事をやりくってスキーに行ってしまいました。それなので大雪対策は、金曜日にスタート。朝食を早々に済ませて朝9時には近くのスーパーに買い出しに行きましたが、すでに駐車場は満杯。それでも時間が早かったので買いたかったものは全部買えましたが、もう少し遅い時間に買い物に行ったという友人によると、ミルクも卵もほとんど残っていなかったとか。ニュースによれば金曜日の夕方までには雪かき用スコップや暖炉で使う薪なども売り切れたらしい。

10時過ぎから湿った雪が降り出し、夕方から本格的に積もりはじめて夜には風が出てきて猛吹雪。テレビのネット局はどこも通常番組を飛ばして「大雪特番」。いつのまにか「Blizzard 2010」と名前がついていた。路線バスは夜8時過ぎにすべて運行をストップ、地下鉄も地上を走る部分は運休。一部のハイウエイも閉鎖された。あちこちの病院が医師や看護士の送迎のために4WDのSUV車を持っている人のボランティアを募集しているとニュースが伝えている。 

夜半になって重い雪で立木が倒れたり、架線が切れて停電しているところが8万世帯も出ているとニュースが伝える。私は大きなアパート暮らしなので停電の心配はないが、郊外の1軒家暮らしは、天候が荒れると停電が心配のタネだという。発電機を持っているのは当然だし、暖房は暖炉で薪を燃やしてまかなう(だから薪が売り切れた)。

家から見える幹線道路は1時間に1回くらいの割合でSnow Plow(除雪車)が3台セットで回ってきて除雪していくが、すぐに道路は真っ白、時々フラッシャーを点滅させながらそろそろと走っていくクルマが見える程度ーーというのが昨夜の状況。

一晩明けて今朝も、雪は相変わらず降り続き、Blizzardが続いている。通り向こうの駐車場に昨夜から停まったままのクルマはすっかり雪のなかに埋まってしまった。

ワシントン周辺の空港を発着する便はほぼ全便が欠航。動いているのは地下鉄の地下部分のみで、ワシントンの地下鉄は郊外へ行くと地上を走るところが多いので、実質的に動いているのは首都中心部のみだ。バスもすべて運休。どこかへ出ていこうにも、図書館も美術館も博物館もみんな休館なので行くところはないし、無謀にもクルマで出ていって雪にタイヤが埋まって動けなくなり、通りがかりの人たちに押してもらって何とか脱出している光景をニュースが伝える。

ワシントンの国際線が発着するダレス空港では、湿った雪の重みで自家用飛行機が使っている格納庫の屋根が壊れた。古い教会が倒壊したところもある。停電している世帯はさらに増え、天候はいっこうに回復する気配がなく、逆に吹雪が激しくなっていく。

何とも深刻な事態になりかけていた土曜日午後2時頃、ワシントン中心部にあるデュポンサークルという広場で「雪合戦」が始まったというニュースが流れた。広場には数百人の人が集まって雪玉を投げ合ってはしゃぎ回っていて、どんどん人が集まり続けていた。

来ている人たちのインタビューを聞くと、みんな「Facebookで雪合戦情報を知ってやってきた」と口を揃える。さっそくFacebookを調べると「The Official Dupont Circle Snowball Fight, 2pm Sat. Feb. 6, 2010」というサイトが2月4日に作られていて、すでに5000人以上が登録していた。口コミで伝えられTwitterされてさらに人が増えていく。

インタビューで「雪合戦はどうだった?」と聞かれて「うん、上首尾。勝ったに違いない」など答えていた男性グループ、「ところで年を聞いてもいい?」と聞かれて、言いにくそうに「54歳」「46歳」などいい年のおじさんたちがはしゃいでいたことが判明。

またカリフォルニア出身でワシントンの大学院で勉強しているという女性は「カリフォルニアの母がFacebookで見つけて行きなさいってメールをくれたの」と言っていた。

出張や旅行でワシントンに来ていて交通機関がマヒしてホテルに缶詰になっていた人たちもたくさん参加していたようで、2010年のワシントンの大雪は、記憶に残る出来事になったに違いない。

Snowball Fightのサイトはこちら。写真や映像も見られます。
http://www.facebook.com/group.php?gid=214506802146

ところで現在2月6日土曜日午後5時。雪は小降りになってきました。すでに30インチ(75センチ)くらいの雪が積もっていますが、西の空が少し明るくなって、どうやら峠は越えたみたい。交通機関のマヒはまだまだ続きそうですが、明日は天候が回復するようなので、雪景色の写真をとりに散歩に出ようと思います。