ハイチ大地震

Mac5102010-01-18

(本題にはまったく関係ないですがスキーに行ってきました。家からクルマで90分のところにけっこういいスキー場があります(^_^)

ハイチで大地震が発生。フロリダの先、キューバの隣にあるメキシコ湾に浮かぶ島国。 アメリカにとってはほんの庭先での出来事。もともと国連平和軍が駐留しているくらい政情の不安定な国でアメリカは多額の支援をしていた。そんな場所の死者10万人規模が予想される大災害に、アメリカは自国の災害と同等の扱いで取り組んでいる。

地震発生とほぼ同時にテレビ各局は看板キャスターを現地に派遣して特別編成。最初は映像も届かず携帯電話による音声だけの中継もあったが映像が届き始めると、その深刻さは想像を絶するものだった。救助をしようにも重機がほとんどなく、幾重にも重なって倒壊したブロック組みの家々を手で掻き出しながら家族を捜す人たち、道に放置されたままの無数の遺体...

救援の動きは素早く、大統領も関係閣僚も予定をキャンセルして対策に専念。私の住むアーリントンの隣町、フォールズチャーチの災害救助部隊が翌日の朝には現地に入って救助を始めるが、現場が混乱していて思うようには進まない様子が伝えられる。現地がほぼ無政府状態なので、世界中から届く救助隊・救助物資を組織化するのに時間がかかっている様子。状況が分からず焦る被災者が暴徒化して、ますます混乱し...。けっこう、災害の最悪のシナリオになりかけている。アメリカとしては全力で支えるしかない状況だ。

全米で寄付を募るキャンペーンが張られ、昨日はクリントン・ブッシュ基金という前大統領が党を超えて協力して寄付を募る基金がスタートした。メディアのサイトや各種ポータルに行くと、ハイチ援助の寄付を集めている団体のリストが多数リンクされている。以下は、代表的な10団体をトップページに掲示しているThe Huffington Postのリストから。( )内は各組織のごくごく簡単な説明です(by me)。

Save the Children(子供のための国際NGO
AmeriCares(災害救助NGO
MercyCorps(救援・開発援助NGO
American Red Cross(アメリ赤十字
Unicefユニセフ
Oxfam(貧困の克服を目指すNGO
Partners in Health(特に貧困層の健康福祉に特化したNGO
Medicines Sans Frontieers(国境なき医師団
International Medical Corps(医療援助NGO
Operation USA(災害・貧困援助NGO

ハリウッドスターたちの反応も素早くて、マドンナは Partners in Health を通じて25万ドル、ブラッド・ピット夫妻が110万ドルを国境なき医師団へ、女優のサンドラ・ブロック国境なき医師団へ100万ドル。ジョージ・クルーニーはハイチ出身のヒップホップ歌手Wyclef Jeanと一緒に”Hope for Haiti”というチャリティーテレソンをニューヨークとロサンゼルスで企画していて、今度の金曜日にABC, CBS, NBC, Fox, CNN, HBO,MTVで放送される予定。

ハイチ出身の選手を多く抱えるスポーツ界も、MLBメジャーリーグ野球機構)が100万ドル、ニューヨークヤンキーズヒューストン・アストロズがそれぞれ単独で100万ドル、NFLフットボール機構)と選手協会が合わせて100万ドルをアメリ赤十字と Partners in Healthを通じて寄付したほか、各球団が試合前の時間を通じて寄付を呼びかけ150万ドルを募る予定にしている。セックススキャンダル渦中のタイガー・ウッズは、自身の団体Tiger Woods Foundationから300万ドルの救援を予定しているとか。思い切った援助でイメージ回復するには、いい機会ですよね。

もちろん企業も多額の寄付を発表している。GE(ゼネラルエレクトリック)が250万ドル、最近、再び巨額のボーナス支給を発表して世間の批判を浴びている金融界はどこも100万ドル規模の寄付を発表。ヴァージン空港はハイチへの救援物資・人員の輸送に協力し、イギリスのBritish Airwaysもジャンボジェットでハイチへ救援物資を輸送した。アメリカの航空会社は顧客が持っているマイルを寄付できる仕組みを作ったり、逆にキャッシュで寄付するとマイル数が加算されたりと、マイルと寄付を組み合わせている。

他にもネスレはペットボトルの飲料水を、アストラゼネカは医薬品を、ユニリーバは国連食糧計画を通じて食品を、エリクソンはハイチで救助部隊が使える通信機器を寄付するなど、それぞれの方法で名だたる企業は何らかの救援を申し出ている。

一般への寄付の呼びかけももちろん盛んで、さまざまな場所で寄付ができる。スーパーマーケットやチェーン展開している小売店のレジでも、寄付はできる。レジで買い物の精算をするときに「ハイチに寄付しませんか?」と聞かれ「じゃ10ドル」とか金額を言うと、買い物の料金に寄付金が加算されて一緒にクレジットカードから引き落とされる。とても簡単。店ごとにどの団体を通じて寄付されるのか明示されている。

今回話題になっているのが、CNNや、ファーストレディ・ミシェル・オバマや人気のトークショーホスト、オプラなど多くの人が呼びかけた「Text Massage」による寄付。携帯電話で宛先を”90999”と入力してメッセージ欄に”HAITI”と入れて送信するだけで自動的に10ドルの寄付がアメリ赤十字に届き、支払いは毎月の電話料に加算される。このTextingを使って地震翌日の水曜日から金曜日までの3日間で、赤十字には900万ドルの寄付が届いた。1クリック10ドルだからのべ90万人が携帯電話から寄付をしたことになる。

同じようにチャリティ・テレソンを企画しているハイチ出身のWyclef Jeanが立ち上げた組織Yele Haitiは、”501501”宛に”Yele”とテキストすると5ドルの寄付が出来る仕組みで運営している。

SNSFacebookTwitterも寄付の呼びかけに大きな役割を果たしていて、Haitiの大災害をきっかけに、アメリカは新しい人道援助の方法を学びつつある、とコメンテーターたちは解説している。

私も試しに”90999”あてに”HAITI”とテキスト送信してみました。ほぼ即座に「10ドル寄付がOKなら”Yes”と返信してください」というメッセージが届いた。”Yes”と返信すると今度は「赤十字からのニュースを受け取りますか? 追加の寄付をしますか?」というメッセージが届き、必要ない人は「Stop」と返信してくださいとあったので”Stop”と返信したら「10ドルの寄付を受け取りました。ニュースや追加の寄付のお知らせはお送りしません」みたいなメッセージが届いて、一連の作業が終了。所要時間5分くらいだったかな。そんなわけで、私もハイチ援助に10ドルの寄付をしてみたわけです。

ところで、日本からの援助の話はまったくニュースになっていません。アジアは遠いので仕方ないですが、中国が即座に救援隊を送る決定をしたことは、けっこう大きく報道されました。日本はその気になれば経験もあるしノウハウもあるし、資金もある。タイミングを逃さず援助に乗り出せば、プレゼンスを示すいいチャンスだったはずですが、残念ですね。