アメリカの世帯調査
アメリカ商務省（US Department of Commerce)の国勢調査局（US Census Bureau)から「The American Community Survey (社会調査）」票が届いた。
日本と違って、住民票があるわけではないので「家」宛に届く。つまりTo the resident of 〜（この住所にお住まいの方へ）という宛名で調査票が届くわけ。「この調査に答えることは法律で定められています」とある。調査票はタテ横それぞれ26センチの正方形28ページの小冊子（写真）。さらに書き方の説明小冊子とB4三つ折りくらいの「よくある質問集」もついている。
「よくある質問集」によれば「記入に要する時間は平均38分」だそうだが、びっしり書かれた英語。「3倍はかかるかな」と冗談を言いつつ、もともと調査は仕事だったので、どんな内容だか興味津々で取り組んだ。
いわゆる「Census：国勢調査」は3月に別途行われるそうだが、この調査は「世帯調査」みたいな感じ。住人の数・人種から家の部屋数、家賃光熱費、住人の教育程度（大学の専攻まで）、仕事の内容、年収まで、あらゆる角度から調査される。調査項目、回答の選択肢にアメリカの世相が垣間見えるところがあって、興味深い。すごく長くなりますが、アメリカ暮らしの記録として、ほぼ全部の質問事項を書きだしてみました。※つきのコメントは私の感想or説明です。
●始めに：
・記入日
・回答者の名前（姓・名）←ミドルネームのイニシャルを記入する欄がある
・電話番号
・この住所に何人が住んでいますか？
●一人目の住人について：姓・名／性別／年齢・生年月日
・ヒスパニックですか？（ヒスパニックならメキシコかプエルトリコかキューバかそれ以外なら母国名を記入）
・人種は？：白人、黒人、アメリカンインディアンorアラスカネイティブ（種族を記入）、インド、中国、フィリピン、日本、朝鮮、ヴェトナム、ハワイネイティブ、グラムorチャモロ、サモア、その他のアジア・太平洋（母国名を記入）、その他の人種（記入）
※まず最初にヒスパニックが出てくるところがが現代のアメリカを象徴している
二人目／三人目／四人目／五人目もおなじ質問事項
六人目〜十二人目（名前と性別・年齢だけ記入）※六人以上の世帯は滅多にない？
●住居について
・どんな家にすんでいますか？ モバイルホーム、戸建て、棟割りの戸建て、2室のアパート、３〜４室アパート、５〜９室アパート、10〜19室アパート、20〜49室アパート、50室以上アパート、ボートorRV車など
・その建物の築年：2000年以降、1990〜99年、1980〜89年、1970〜79年、 1960〜69年、 1950〜59年、1940〜49年、1939年以前
・その建物にいつから住んでいますか？
（戸建ての人へ）・土地の広さ・その土地で採れた農産物の売上・その場所でビジネスを行っていますか？
（全員へ）
・部屋数はいくつですか？／そのうち寝室の数は？
・家には以下のものがありますか？ 水道・水洗トイレ・風呂シャワー・流し・レンジ・冷蔵庫・電話
・クルマは何台ありますか（”ゼロ”から”6台以上”までの選択肢）
・家で最も多く使う燃料は何ですか？都市ガス・LPガス・電気・灯油・石炭・薪・ソーラー・その他の燃料・燃料は使わない
・先月のガス代はいくらでしたか
・先月の電気代はいくらでしたか
・過去12ヶ月の水道代はいくらでしたか？（※領収書を探して計算した！）
・燃料として使う灯油・石炭・薪などの過去12ヶ月の総合計
・過去12ヶ月にフードスタンプ（※低所得者向けの食料補助制度）を受け取ったことがありますか？
・その家はコンドミニアム（分乗マンション）の一部ですか？
・持ち家ですか・賃貸ですか？
・賃貸の場合、1ヶ月の家賃はいくらですか？
・家賃に食事代が含まれていますか？
◎〈家を持っているか買おうとしている人へ〉
その家はいくらで売れると思いますか／不動産税は年間いくらですか／不動産の保険料はいくら？／家を担保に借金していますか／そのローン支払いは月額いくら？／ローン支払いに不動産税は含まれている？／そのローン支払いに損害保険料は含まれている？／その家を担保に別のローンを組んでいますか
◎〈モバイルホームの人へ〉そのモバイルホームにかかる年間総費用（税金・土地使用料・登録料・ライセンス料など）はいくらですか
●住人について：一人目の住人について
・名前・生まれた場所（州名or国名）・アメリカ市民ですか・いつからアメリカに住んでいますか
・過去3ヶ月間に学校に通いましたか？（通っている学校の種類：幼稚園・小学校〜高校（1年生〜12年生）・大学・大学院以上）
・最終学歴：どこも卒業してない・幼稚園・1年生〜12年生（卒業していない）・ハイスクール卒・大学・大学院以上
・大学卒業以上の人へ：大学の専攻科目は何ですか
・あなたの先祖（あるいは人種）はどこからきましたか
・自宅で英語以外の言葉で会話しますか、それはどの言葉ですか
・英語はどのくらい話せますか？(very well・well・not well・not at all）
・あなたは1年前にもこの家に住んでいましたか
→（Noの人へ）1年前に住んでいたのはどこですか（住所を記入）
・あなたは現在何らかの医療保険に入っていますか・会社で入っている・個人で入っている・高齢者医療保険（Medicare）・低所得者＆障害者保健（Medicaid）・軍人保険・インディアン医療保険（ネイティブアメリカン）・その他（詳細記入）
・あなたは視覚・聴覚に障害がありますか／歩行に障害がありますか／一人で着替えたり風呂に入ることができない人ですか
◎15歳以上の人へ
・何らかの障害があって日常生活に支障をきたしますか
・結婚していますか（既婚・死別・離婚・別居中・未婚）
・この12ヶ月間に結婚しましたか・死別しましたか・離婚しましたか
・これまで何回結婚しましたか
・直近で結婚した年は何年ですか
◎女性で15歳〜50歳の人へ：この12ヶ月に出産しましたか
・同じ家に住んでいる孫はいますか
・同居している18歳以下の孫の養育に責任がありますか
・孫の養育に責任を持つようになって何年になりますか
◎あなたはアメリカの軍隊で働いたことがありますか
・現在働いている・過去に働いていた・訓練を受けただけ・軍隊の経験はない
〈軍隊で働いていた人へ〉
働いていた期間／軍隊の負傷して身障者の指定を受けていますか（その割合）
◎先週あなたは収入を得る仕事をしましたか
・仕事をした場所は？（住所・会社名を記入）
・仕事場への通勤手段は？
→（クルマ通勤の人へ）クルマの同乗者は何人ですか
・通常自宅を出る時間は何時ですか
・通勤にかかる時間は何分ですか
〈先週働いていないと答えた人へ〉
・先週、レイオフされましたか
・先週、仕事を休みましたか（休暇・病気などで）
・6ヶ月以内に職場に呼び戻される予定があると言われていますか？
・過去4週間の間に積極的に求職活動をしましたか？
・先週、もし仕事が見つかったら、あるいは職場に呼び戻されたら、仕事を始めていましたか？
・あなたが最後に仕事をしたのはいつですか？（たとえ数日間でも）
（この１２ヶ月・１〜５年の間・５年以上働いていない）
◎この12ヶ月間、50週以上働いていますか？
・この1年間に働いたのは（収入を得たのは）何週間ですか？
・過去12ヶ月の間、平均で週に何時間働きましたか？
◎現在の仕事について：どんな仕事をしていますか？
一般企業に雇われている・NPOに雇われている・地方政府職員・連邦政府職員・自営（非法人）・自営（法人）・家業など無報酬で働いている
・務めている法人はどこですか（法人名・法人の仕事の内容）
・あなたの仕事の内容・最も重要な役割
◎過去12ヶ月の収入はいくらですか（それぞれ金額を記入）
・給与の額・自営業の収入・利息・賃貸収入などその他の収入・年金収入・社会福祉局などからの生活保護・退役・身障者への特別年金・その他の失業手当・児童養育手当など
◎合計の年間収入はいくらですか
と、以上ここまでが、一人目の住人に関する質問。同様の質問が二人目から5人目まで続く。家族の人数分答えて、調査終了。
結局、平均38分と書かれていた記入時間は、電気やガスの支払記録を探したりと捜し物の時間も含めて1時間近くに及んだ。3倍まではかからなかったけれど、まあ、大変でした。
アメリカでは、Demographics（人口統計）データはとても重要。住宅を選ぶときにどんな地域か詳しく調べる人はたくさんいる。インターネット上にはにDemographics（人口統計）データを詳しく確認できるサイトがいくつもある。下記は視覚的に統計データを見ることができてちょっと面白いサイトです（統計好きにはお奨めです）
http://demo.idvsolutions.com/apps/censusdemo/flash/map.html
