Merry Christmas! 〜 ミンスミート・パイ

先週土曜日のSnow Stormは結局1日で40センチくらいの大雪を降らし、4日後の水曜日になっても歩道にはたくさん雪が残ったままです。
おかげで“Happy ‘Almost’ White Christmas!”となりました。

話が前後するのですが、雪が降る前日に、友人のスーザン宅のChristmas Teaに招かれてお邪魔してきました。ご近所や同じ教会の友人という女性たちが15人ほど集まって紅茶とクッキーで午後のひとときのお喋りを楽しむTea Partyでした。

11月末のThanksgivingからこっち、いくつものクリスマスパーティに呼ばれて、なんだかとても忙しい1ヶ月を過ごしてきて、最後のクリスマスランチが今日あって、ようやく一息です。本番のクリスマスはファミリーで過ごす日なので「クリスマス前日までにクリスマスパーティーシーズンは終わる」というのが、こちらのみなさんの感覚らしい。

で、そのいくつものクリスマス行事のひとつ、スーザンのChristmas Tea。
ご両親がイギリス人なので彼女のAfternoon Teaは本格的。美味しいイングリッシュティーを入れたポットはティーポットカバーをかけて保温してあり、繊細なティーカップが用意されている。ジンジャークッキー、シュガークッキー、クランベリーショートブレッドなど数種類のクッキーがテーブルに並んでいました。前にお邪魔したときにはその場でスコーンを焼いてくれて、その焼きたてスコーンは今までどこで食べたスコーンより美味しかった。

三々五々に集まってくるゲストがほぼティーカップを持って腰を落ち着けた頃合いに、スーザンが焼きたてのミンスミートパイを運んできました。

ミンスミートパイーー名前は聞いたことがありますが、本物の手作りのミンスミートパイは初めてで、思わずスーザンや周囲の女性たちを質問攻めにしてしまいました。スーザンのミンスミートパイは、直径4センチくらいの小ぶりなもので、小さなタルトにカレント(山葡萄のレーズン)が入っていて、タルト生地のフタがかぶせてあります(写真)


「このフタをとって、フタにいくつカレントがついてくるかで、来年は何ヶ月がラッキーな月になるかを占うのが習慣なのよ」と教えてもらう(残念ながら私のパイはフタに3つしかカレントがついてこなかった)。「え、じゃ必ず12個のカレントを入れるの?」と突っ込んでしまったら「いや、そこまで細かいことはしないわよ」と笑っていた。

ミンスミート:mincemeat」は挽肉のことです。ミンチミートですね。歴史を紐解くと、その昔、まだ食料の保存方法が原始的だった頃、冬を迎える前に、翌年の繁殖に必要な家畜以外は、飼っている家畜を殺して食用肉にしていた。肉を保存するひとつの方法として、砂糖で漬け込んだナッツやフルーツを混ぜて調理したという。その肉を詰めて焼いたのがミンスミート・パイで、イギリスのクリスマスのご馳走のひとつだったとか。やがてパイの材料から肉が姿を消し、ナッツやフルーツの砂糖漬けを詰め込んだパイだけが残ったけれど、名前はオリジナルの「ミンスミート・パイ」がそのまま使われている、という。

Tea Partyのゲストの一人が「ああミンスミート・パイ。なつかしいわ」と言いだした。彼女は前に昔ながらのイギリス風のミンスミート・パイを作っていたそうですが「子供たちが、こんなまずい料理は食べたことがないって食べてくれなかったので、いつの間にか止めてしまったのよ」という話を披露してくれた。

家に帰ってから、図書館のブックセールで買ったEncyclopedia of Christmas(クリスマス百科事典:700ページもある本が4ドル。ブックセールの掘り出し物!)で詳細を調べてみました。

16世紀に書かれた記録ではミンスミート・パイの材料は「牛タン、鶏肉、タマゴ、オレンジピール、レモンピール、砂糖、スパイス各種」となっているそうですが、その後、砂糖をたくさん使った甘いパイと、肉を使った甘くないパイに、作り方が分岐していったそうです。今でも肉を入れたミンスミート・パイを作る風習も残っていますが、肉を全く使わないレシピのほうがポピュラーとか。それでも「ミート」の名残で、パイを作る材料にはsuet:牛脂肪を使うのが正式だそうです。

ちなみに、私はスーザンのお茶会に「エスプレッソ・チョコレート・クッキー」を焼いて持って行きました。Washington PostのFoodセクションで見つけたレシピで、エスプレッソのインスタントコーヒーとセミスイートチョコレートをたくさん使った豪華な大人向けクッキー。手間がかかるので滅多に作りませんが、持って行くと必ず大ヒットになります。今回も、多くの方と話をするきっかけになってくれました。

会話のきっかけになるネタは、いつも必要です。

みなさん、よいクリスマスを! 
(冒頭の写真は今年の拙宅のクリスマスバスケット。LL Beanのメールオーダーで50ドルくらいでした)