Happy Thanksgiving!

11月26日(木)からアメリカはThanksgiving Dayの4連休です。毎年11月の第4木曜日と決まっているThanksgiving Dayは、もとをただせば、最初にメイフラワー号でアメリカに渡ってきたピルグリムファーザーズと呼ばれる入植者たちが、長い航海で多くの犠牲者を出した末に新天地で生活を始め、食べ物にも事欠きながら何とか最初の1年を生き延びたことに感謝し、家族・親戚が集まってご馳走を食べてお互いの無事を祝う日として始まりました。その後しだいに習慣がすたれ忘れられていたのを、南北戦争のあとに荒廃した国を、みんなが平和な気持ちで過ごせるようにと、リンカーン大統領がThanksgiving Dayを復活させたのが、今に続いているとか。

Thanksgiving Dayは、ファーストフード店くらいは開いていますが、企業もお店もレストランもほぼ休み。町はひっそり静まりかえります。日本の元日みたいな感じ。離れて暮らす子供たちがそれぞれ家族を連れて親元を訪れて一緒に時間を過ごすのも、伝統的な料理を作ってみんなで揃って食べるのも、日本のお正月そっくりです。

私は今年、主人が仕事で地球の裏側インドまで出張して留守。それをあちこちで吹聴していたら、いくつかご招待をいただき、おそらくとても一般的なファミリーのThanksgivingを体験することが出来ました。

化学者で特許庁の審査官をしているご主人と漢方の研究をされている奥様、5人のお子さんのうち結婚してカナダで暮らしている長女だけは予定がつかなかったそうですが、長男はシカゴから新婚の奥様を連れて、次男はカリフォルニアからフィアンセを連れて来ていました。シカゴからワシントン近郊まではクルマで12時間のドライブだとか。三男、二女はまだ高校生なので親元にいて、二女は両親が旅行に行ってしまった友人を連れてきていました。さらに友人のファミリーが2組来て、総勢20人を超える盛大なディナーになりました。

2時頃から始めるからと聞いていたので2時前にお邪魔したのですが、次々に人が集まり、そのたびにお互い自己紹介して飲み物とスナックでお喋りしながら、家の人たちはディナーの準備。ようやく席についてディナーが始まったのが4時頃になってからでした。

ThanksgivingにはTurkeyを食べることに決まっていて、大きなローストターキーを切り分け、マッシュポテト、ビーンズ、コーン、キャロット、クランベリー、パンプキンその他その他、サイドディッシュが10種類くらい。いわゆるお誕生日席に座ったご主人を起点に、料理を盛った皿を順番に回していくのですが、人数が多いのと(テーブルは大人と若者達二つに分かれました)、料理の数が多いので、ひととおり全部が一巡するまでに20分くらいかかった感じ。

このお宅では家族は一人一品ずつ各自が料理を作ることになっているそうで、例えば大量のマッシュポテトは若い三男の力仕事による作品。メインのローストターキーはもちろん奥様の自信作でした。

少しずつ取り分けただけでも大きなディナープレートに溢れるばかりになっていた料理を1時間くらいかけてお喋りしながら平らげ、動けないくらい満腹したころ「じゃフットボールでも見ましょう」ということになって地下のファミリールームに移動。ダラス・カウボーイズの試合を見ながらお喋りが続き、フットボールがハーフタイムになった頃に「じゃ、デザートにしましょう」となりました。

デザートがまた盛り沢山で「今日はパイが8種類あるわよ」と言われ、ずらりと並んだパイから自分で好きなものを好きなだけ皿にとってアイスクリームも乗せたりして。全部手作りパイだと言うので、私はパンプキン、アップル、ピーカン、チョコレートと4種類のパイを少しずついただきました。ご主人が豆を青いまま買って自宅でローストしてコーヒーを淹れることに凝っているそうで、炒りたてのおいしいコーヒーが飲み放題でした。

2時からと言われていたので夕方6時頃にはお開きになるのだろうと思っていたら、ここまでですでに8時過ぎ。結局コーヒーを飲みながらお喋りは続き、9時過ぎまでお邪魔していました。

若者達は、夜中の12時からスタートするThanksgiving Day翌日の大バーゲンに行く計画を話し合っているようでした。

日本のお正月2日の福袋セールに通じるところがありますが、Thanksgivingの翌日はBlack Fridayと呼ばれ(どんな商店も黒字になるからだそうです)、早いところでは日付が変わる夜中の12時に店を開けて大バーゲンが始まります。遅い店でも早朝5時とか6時に店を開け、目玉商品には開店前から行列ができます。

アメリカのThanksgivingは、日本のお正月に似ていますが、違うのは、Thanksgivingがクリスマスシーズンの始まりだってところ。町にはクリスマスキャロルが流れ、イルミネーションが輝きます。Black Fridayのバーゲンは、クリスマスプレゼントをまとめて安く買うために人が押し寄せるバーゲンになっているわけ。
このまま年末までクリスマス気分がずっと続いていきます。