JERSEY BOYS ワシントン公演

ワシントンは、ニューヨークと違ってブロードウエイがあるわけでなく、演劇やミュージカルを見る環境はあまり良くない。ブロードウエイでは2005年11月に始まってソールドアウトのヒットを続けているミュージカルJERSEY BOYS・ジャージーボーイズが、10月始めからワシントンのナショナルシアターで開演されているので、見に行ってきました。楽しかった。

JERSEY BOYSは、1960年代アメリカンポップスを代表するグループ、The Four Seasonsの成功(とちょっと挫折)の物語。私は、60年代アメリカンポップスにはとても弱くて、つまり大好きで、底抜けに明るくてノーテンキにのれるところが、多分DNAのどこかを刺激するのだと思いますが、ワシントン公演の日程が決まった直後からチケットを予約してました。前から3列目、ほぼかぶりつき。

ミュージカルのストーリーはこんな感じ;
ニュージャージーの小さな町で10代の若者フランキー・バリと、友人のニックとトミーは、売れないバンドを組んでいた。共通の友人からフランキーはソングライターのボブ・ゴーディオを紹介される。ボブは15歳の時に作ったShort−Shortsがヒットしたが(日本ではタモリ倶楽部のテーマ曲でお馴染みですね)、その後パッとせず17歳で一発屋と呼ばれていたところだった。

フランキーのファルセットの歌声に触発されてボブが作った Sherry で、4人は一挙にスターダムへ。「君の声と僕の曲でやっていこう、契約しようじゃないか」と持ちかけるボブに、フランキーは「契約? ほら」と右手を差し出して「ジャージー式契約だ」と握手をかわしてグループ成立。まともな名前のついていなかったグループは、たむろしていたボーリング場のラウンジの名前The Four Seasonsをグループ名に決める。

Sherry、Big Girls Don't Cry、Walk Like a Manと3曲立て続けのナンバーワンヒットに恵まれ、全国ツアー、テレビ出演、ラスベガスのショーと、当時”ビートルズなどのBritish Invasion"にも負けない人気を保っていたーー

ーーところが人気絶頂の中でお決まりの亀裂がグループに入り始める。ニックがいつの間にか多額の借金を作って追い詰められていた。フランキーはニックの借金を全額肩代わりするが、ニックとトミーはグループを去る。ボブは、自分は曲作りに徹するからフランキーをメインにしたグループに新しく作ろうと提案して、The Four Seasonsは、Frankie Valli & The Four Seasonsに生まれ変わる。
その後に生まれるのが、Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)の大ヒット(20世紀の名曲第5位に入っているそうです)ーー

まあ、正直なところストーリーはどうでもよくて、2時間ちょっとのショーの間に懐かしいヒット曲が30曲以上聴けます。ミュージカルというよりコンサート状態。

The Four Seasonsは、ファルセットボイスのボーカル、フランキー・バリあってのグループですが、曲作りのボブ・ゴーディオの存在なしには成立しなかったことを初めて知りました。これも彼らの曲だったんだ、とあらためて知る曲がいくつもありました。

このJersey Boysのサイトで、彼らの曲のさわりが聴けます。
http://www.jerseyboysinfo.com/broadway/

さて、会場のナショナルシアターは、とても小さな劇場で、客席は3階までありますが、ホールの外は狭い通路だけで待ち合わせに座っていられるようなロビーもない。ナショナルシアターと呼ぶには、いささか見劣りする感じですが、それでも満席。観客のほとんどは年配のカップルあるいはグループで、2階の桟敷席に若い女性グループが座って騒いでいるのが、妙に目立っていた。

観客の大半を占める50代60代の人々にとって、The Four Seasonsは、まさに青春の音楽。1曲ごとに拍手喝采。後半のCan't Take My Eyes Off Youは会場全体が大合唱。そしてフィナーレのWho Loves Youは、全員総立ちでスタンディングオベージョンというよりは、一緒に歌って踊って大騒ぎのクライマックス。いやあ、文句なしに楽しめるミュージカルでした。