New York 日帰り

ワシントンとニューヨークはAmTrakの特急で3時間足らず。東京ー大阪の感じです。ニューヨークは過去に何度か行きましたが”汚い・くさい・薄暗い”イメージで好きになれず、昨年こちらに来てからずっと敬遠していました。それが、何となく行ってみようと思って、昨日、日帰りで遊びに行ってきました。

暗いうちに起き出して6時に家を出発。ワシントン、ユニオンステーション7時発のAmtrackアセラエクスプレスに乗る。電車でニューヨークに行くのは初めてなので、これは楽しみにしていた。

ワシントンを出た列車は、ボルチモアメリーランド州)、ウイルミントン(デラウエア州)、フィラデルフィアペンシルベニア州)、ニューアークニュージャージー州)を経由してニューヨーク着9時45分。車窓の景色は、チェサピーク湾に沿って走るボルチモアからウイルミントン周辺を除けば、線路脇の林の向こうにときおり町の風景が見える何の変哲もない風景。ニューヨークに近づき林立するビル群が見えてくると周囲は工場や倉庫の大都市周辺の景色。

ワシントン朝7時発の社内は、ビジネスマン&ウーマンばかり。座席の足下にコンセントがあり、席に着くとまずパソコンを立ち上げて仕事を始める。携帯電話で話をしたり、書類を読んだり。6両編成の1両だけ「Quiet Car」になっていて、そこは携帯禁止、大声で話をすることも、PCの音を出すことも禁止なので、静かに過ごしたい人はそちらへ。それ以外の車両では電話で話をすることに問題ない。

競争社会アメリカのビジネスマン&ウーマンは、自分がマルチタスクで仕事をする姿をことさらに強調するようなところがあって、よく見ていると実際はたいして仕事はしていないのにPCを立ち上げたまま、実は携帯で話している相手はガールフレンドだったり。ひらすらTexting(ケータイメールを打つことをTextingといいます)している人も多い。

さて、NY到着後、駅から通りに出た途端に、水が腐ったようなニューヨーク特有の匂いが鼻をつく。狭い歩道に人が溢れ、高いビルに挟まれた狭い通りは晴れているのに日が差さず、空が狭い。道幅が広くて高い建物が少なく緑の多いワシントンに慣れていると、この閉塞感にうんざり。東京だって似たようなものなのに、すっかりアメリカの田舎暮らしに慣れた大都市苦手人間になってしまったかもしれない。

店内が明るくて雰囲気のいいカフェがあったので、まずは簡単に朝食。その後、5番街をテクテク歩いてMoMaニューヨーク近代美術館へ。10時30分の開館に15分くらい間に合わなかったら、すでにチケット売り場は長蛇の列。チケットを買うのに10分。一人20ドル。(入場無料のワシントンの美術館・博物館に慣れていると、高い!と思うけれど、これが世界標準ですよね)

MoMaは、ピカソからコンテンポラリーまで、見応えのある展示だが、何しろ混んでいる。ダリの溶ける時計の絵の前では、写真をとる人の行列が出来ていた。6階から1階までゆっくりではなかったがひととおり展示を見て、すでに1時近く。2階のカフェでランチにする。サラダとサンドイッチ。どちらもとてもおいしかった。カフェは混雑していたけれど雰囲気がよくて落ち着いて食事を楽しめた。

ミュージアムショップをのぞいたあと、今度は6番街を歩いて42丁目のブライアント・パークの前にある紀伊国屋へ。日本の雑誌・本が揃っている。コミックのコーナーや日本の文房具・グッズが充実していることもあって、アメリカ人客の割合も高い。店の前で父親から30分だけだよと釘を刺されたティーンエイジャーの娘と母親が入ってきてカゴを手にしてグッズコーナーを攻めていた。日本の小物をニューヨークみやげに買っていくのが地方から遊びに来るアメリカ人に流行っているのかも知れない。

その後ニューヨークタイムズ本社ビルの1階に店を構えている無印良品に行ってみた。無印良品MoMaのデザインショップにもコーナーがある。シンプルな機能美の商品がニューヨーク的Snobたちに認められているのだろう。無印良品と並んでNYタイムス1階にあるDean & Deluca(これもSnobなデリです)でアイスコーヒーを飲んで休み(すごく蒸し暑い日だった)、また少し歩いてTimes Squareに行ってみる。私のTimes Squareの印象はいつも、新宿歌舞伎町なんだけど、やっぱりその通りだった。

蒸し暑い中を歩き回って疲れたので、早めに駅にいって6時発のワシントン行きで帰ることにする。社内で食べるサンドイッチと水を買う。出発の10分前まで列車がどのホームから出るか決まらない。仕事帰りのビジネスマン&ウーマンたちが出発便の掲示板を見上げて待っている。ホームが決まってアナウンスが出ると同時に改札に人が殺到する。通勤客で混んでいたが、幸い先頭車両まで行ったら空いていて、ゆったりできる席を確保できた。

ニューヨークはホテルをとって宿泊し、夜ミュージカルやお芝居を観れば、この街の楽しさが深まるのだと思うが、マンハッタンでまともなホテルに泊まろうと思ったら1泊4〜5万円は覚悟しなくてはならない。夏休みの観光客であふれかえるこの時期は特に高い。またの機会に。だいたいブロードウエイのハイシーズンは冬だものね。

ニューヨーク、まあ、楽しかったかな。ワシントンにいるうちは年に1回くらいは行っても良いかな。でもじっくり美術館や博物館を見るなら、やっぱりワシントンだわ。ピカソマチスもウォルホールも、MoMaでフィーチャーしているアーティストは、量では敵わないがワシントンでも充分なコレクションがある。 何しろ入館無料、しかも空いている。ワシントン暮らしの特権を使い倒そうと見識を新たにして帰ってきたのでした。

朝6時出発、夜10時30分帰宅。お疲れ様でした。