解散総選挙を伝えるワシントンポスト MLBオールスターも少し
解散総選挙ですね。このニュースにワシントンポストはかなり大きな紙面を割いています。その内容を紹介しようと拙訳を試みていたのですが、昨夜は途中で断念。
というのもMLBオールスターゲームを見ていたため。オバマ大統領が始球式にジーパンにホワイトソックスのジャンパー姿で現れて、ノーバウンドでキャッチャーミットに届くストライクボールを投げました。 ロッカールームで選手たちに声をかけ、イチローには「大ファンだよ」と言ったとかでイチローが大感激していたとこちらの放送でも伝えていました。大統領は2回の裏だったか、中継しているFOXの放送席に座って解説者と話し込んでいて、スポーツ好きの大統領は、とても楽しげでした。
オールスター戦はイニングの間に入るコマーシャルも特別で、昨夜はペプシ、ゲータレード、ホリディインなどが見応えのあるCMをオンエア。特にゲータレードは、後半のイニングの合間のCMで、大統領の始球式やダッグアウトでイチローがゲータレードを飲んでいるところとか、昨日の試合の映像を集めてダイナミックなCMで流したりして、CMタイムもテレビから離れられず、お仕事中断となったのでした。
昨夜のCMはまだネットで見つからないのですが、中継したFOXの予告CMがこちらで見られます。イチローがフィーチャーされています
http://www.casttv.com/video/eglsjg/2009-mlb-all-star-game-on-fox-commercial-video
さて、前置きが長くなりましたが、ワシントンポストが伝える日本の総選挙と自民党政権の問題というか実情というか、アメリカの首都の新聞には、日本の政権はこう見えているという記事です。(若干はしょってますが、ほぼ全訳です)
◆ワシントンポスト紙7月14日◆
Japan's Beleaguered Aso Calls Election That Could Bring Historic Shift
逆風の中の麻生首相、解散総選挙を決定 選挙は歴史的変革をもたらすか?
麻生首相が解散総選挙をずっと先送りしてきたのは、彼と自民党に対する逆風が時間が経てば和らぐのではないかと期待していたからだ。しかし地方選挙での5回連続の敗北、特に先週の東京都議選の破滅的な敗北は人々の不満が逆に高まっていることを示した。そこで彼は月曜日に先送り戦術をあきらめ、8月に総選挙を行うことを決めた。
政治的奇跡を起こさない限り、選挙民は彼を失脚させ、自民党を政権の座から引きずりおろすことになるだろう。麻生の無気力で失態続きの9ヶ月の政権を見る限り、奇跡が起きる気配はまずない。日本の政治の長いこと固まったままだった厚い氷が割れる日がくるだろう。
自民党は1950年代の半ばから実質的に一党支配のこの国を支配し続けてきた。奇跡的な経済発展を成し遂げて日本を世界第2位の経済大国に押し上げたが、そのあとは政権の座を維持することだけに汲々としてきた。
麻生と最近の前任者たちは、日本の最大の緊急課題、高齢化問題を無視し続けてきた。世界史のなかで、どの先進国より子供が少なく人口が高齢化しているのに、政府は少子化対策にほとんど手をつけず、移民の受け入れにもずっと消極的だった。産業界はこのままでは労働者不足で日本経済は破綻すると訴え続けてきたのに、である。
政権支持率も落ち込んでいる。 日本は輸出主導型経済で、今年前半の景気の落ち込みは過去半世紀で最も早いペースなのに政府が有効な対策を打てずにいるからだ。日本経済は、率にしてアメリカの2倍も落ち込んでいる。昨年の日本経済は先進国の中で最も数字が悪化した国だった。
麻生は、過去3年間に選挙民ではなく自民党の長老に選ばれて首相になった不人気な3人の首相の一人である。前任者の二人は、方向の定まらない政策のあげく1年とたたないうちに突然辞任した。麻生の支持率は低く(現在は20%くらいだ)、党内からも何度となく辞任を迫られてきた。
その3人の誰も、2006年に退陣した小泉純一郎には、人気でも有効な政策でも近づくことさえできず、その小泉は今年初めに麻生のことを政権能力に欠けるとコメントした。
総選挙は、どの党あるいは党連合が衆議院の多数をとって次の総理を指名することになるのかを決めるもので、結果次第では、2年に渡って法案を通すことができず政府を半身不随にしてきた政治的膠着状態を破ることになるかもしれない。
参議院は、野党の民主党が多数を占めている。民主党総裁の鳩山由紀夫は62歳。スタンフォード大学で工学博士号をとった裕福な政治家で、最近の世論調査で麻生を上回る支持を集めている。先週の読売新聞の調査では、回答者の46%が鳩山のほうが総理にふさわしいと回答し、麻生を選んだのは21%。2対1の割合で有権者は自民党ではなく民主党政権を望んでいるという結果になった。
世間の目には、自民党と官僚は不当に政権にしがみついているように見えている、と東北大学准教授の河村和徳は言う。「民主党が勝利すれば、選挙を通じて変化を起こす力が選挙民にあると感じさせることになるだろう」
有権者が力を持つことは、自民党と民主党の政策のどんな違いより、はるかに大きな意義を持つものだと、という政治評論家もいる。
「本当に変革を目の当たりにすることになるのかもしれない」と熊本大学助教授の秋吉貴雄は言う。「民主党が勝てば、本当の意味で初めて有権者が『変化』を選んだことになる」
選挙という障害に直面した今でさえ、自民党は変わることに消極的だ。その証拠のひとつが、2世議員の制限をめぐる方針だ。自民党は5月に、党員が近い親族の跡を継いで同じ選挙区から出馬することを制限する決定をした。民主党が先に同様の決定をしたので仕方なく方針を決めたのだった。
それでも、与党自民党にとっては異例とも言える動きだった。なぜなら自民党の衆議院議員の1/3は親族から選挙区を受け継いでいて、また、自民党が総裁を選ぶときには縁故が大きく作用してきたのだから。最近の3人の総裁はみな過去の首相の子供か孫だ。
自民党には、結局、大きな変化に耐える力はないようだ。来月の衆議院選挙ではこの2世議員の規制を適用せず、その次の選挙から適用すると言い出したのだから。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/07/13/AR2009071300220.html