独立記念日

今日は独立記念日。首都ワシントンでは、朝10時からNational Archives国立公文書館)の前で「独立宣言」を読むイベントに始まり、昼頃からは各州のマーチングバンドなどによるパレード、午後6時からは国会議事堂の前庭でコンサート、暗くなる9時過ぎからは花火大会と一日中イベントが続きます。
昨年は朝から出かけていって雰囲気を堪能しましたが、ものすごい混雑で地下鉄に乗るのも命がけ。今年はテレビ観戦です。

新聞の日曜版についてくるParadeという薄っぺらい雑誌があります。普段は芸能ネタなのですが、今週は独立記念日にちなみ「What' Great about America:アメリカのすごいところ」という特集。いろんな人のコメントを集めています。そのなかから抄訳で。

デレク・ジーター(NYヤンキーズゴジラ松井のチームメートでお馴染みですね)

≫≫いろんな人に会えること

アメリカの最も良いところは人種の多様性。チームにはプエルトリコ・日本・台湾・オーストラリア・キューバ・メキシコなどの国から来た選手がいて、いつも一緒にいるので、世界のいろいろな文化と触れあえる。これはチームの中だけでなくて球場にやってくる観客も人種は様々だけどみんながひとつになって応援してくれる。それを見ていると、本当にアメリカ人であることを幸運に思う。

レイチェル・レイ
※彼女は料理研究家というかFood Networkという料理専門チャンネルで30 Minutes Mealを担当。30分でメインディッシュからサラダ・デザートまで、絶え間なく喋りながら一人で4人分の料理を作り上げてしまう。明るくて親しみやすいキャラクター。エミー賞を連続受賞、Time誌の最も影響力のある100人にも選ばれている人気者。

≫≫人生が予期しない方向へ進むこと

アメリカでは、人生が自分で考えていたのとは違う方向へ進んでいく。私の場合は幸運な偶然の連続だった。皿洗い機のオペレーターが、ファウンテンガール(カフェの給仕みたいなものかな)、バーテンダー、そして食品の買い付けをしながらスーパーで30分の食事作りを教え始めた。これは私の趣味で楽しみでやっていたことだけど、テレビ番組に発展して、料理本や月刊誌を出すまでなった。 アメリカでは、誰でも本気で頑張ればレイチェル・レイになれる。この国では人生は自分の思い通りにいかないかもしれないけれど、あなたの未来は経験を積み重ねていくと明るく輝く大きなものになりうると思う。

アーノルド・シュワルテェネッガー
※ご存じ映画俳優からカリフォルニア州知事。彼もレイチェル・レイと同じようなことですが。

≫≫ボディビルダー州知事になれること

私は多くの肩書きをもらってきた。ミスター・オリンピア、アクションヒーロー、今は知事。私が一番好きなのは「アメリカ人」と呼ばれることだ。オーストリアにいた10歳の時から、この国に暮らすことを夢見てきた。ここは約束の地、自由の地、限りないチャンスがある場所。一生懸命頑張れば、夢が現実になるところだ。 21歳のときにアメリカにやってきたとき、ポケットには20ドルしかなかった。ボディビルのチャンピオンから映画界に入って成功したいとは思っていたが、まさか自分が知事になるとは夢にも思わなかった。無一文でやってきたものを歓迎して成功する機会を与え、頑張れば夢が実現する社会であるアメリカが、大好きだ。

コリン・パウエル
ブッシュ政権国務長官(アフリカ系)。イラン政策に反対して辞任し、昨年の選挙では、共和党ながらオバマを応援した。(パウエルのオバマ支持が選挙の流れを変えたとも言われている)

≫≫独立宣言を作り上げたこと

年をとればとるほど、アメリカをよい国に導いてきた「独立宣言」に感謝の念を抱くようになっている。特に、新しい自由で民主的な国歌というアメリカの本質を捉えた有名な文章は、世界に影響を与えたと思う。私はこの文章を見るたびに認識を新たにし、この国の誕生に際して、この信念を作り上げたことを誇りに思う。

コリン・パウエルが誇りに思うという独立宣言の一節は、これです。

We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable Rights, that among these are Life, Liberty and the pursuit of Happiness.

私たちは以下の真理を自明のものと信じる。すべての人間は平等で、創造主によって他にゆずることのできない権利を与えられている。それは、生きる権利、自由、幸福を追求する権利などだ。

固いですけど、訳すとこんな感じです。昨年、National Archives国立公文書館)の前で「独立宣言」を読むイベントに参加したとき、周囲のアメリカ人がこの一節だけは、老いも若きも、人種を問わず、みんなが神妙な面持ちで、一緒に声に出していた。つまり、みんなが、そらで覚えているということです。

意見の対立や立場の違いを乗り越えて、ひとつにまとまれる信念がはっきりした言葉として共有されている社会。アメリカの強さは、独立宣言に書かれたこの信念、最後に立ち返れる場所があることにあるのだろうな、とあらためて、独立記念日の今日、思っています。