アメリカの人気就職先ランキング2009

市場調査会社ユニバーサムがアメリカの大学生の人気就職先ランキングを発表した。

 2009年の総合ランキングは、1位グーグル、2位ウォルト・ディズニー、3位アップルコンピュータ。いかにも、という人気企業が並んだ。
続いて、4位が国務省(ボスはヒラリー・クリントンだ)、5位FBI(連邦捜査局)、6位アーンスト&ヤング(税務会計法人)、7位ピースコープ(ボランティアを組織して世界に人材を派遣する機関)、8位NASA(航空宇宙局)、9位プライスウォーターハウスクーパーズ(税務会計法人)、10位ティーチ・フォー・アメリカ(大卒者を僻地の学校へ教師として派遣するNPO)の順。

 政府機関・公的機関が目立つのは2009年という今年の特徴らしい。100位内には他にも、CIA11位、エネルギー省22位、米疾病予防管理センター(CDC)24位、国家安全保障局NSA)32位、連邦準備銀行46位、空軍49位、陸軍57位、ミサイル防衛庁59位、歳入庁60位など機関が並んでいる。

アーネスト&ヤングなど企業の税務会計コンサルタントや、マッキンゼー、ボストンコンサルティングアクセンチュアなど企業コンサルタント、さらに未だにバンクオブアメリカメリルリンチ、ゴールドマンザックス、ウエルスファーゴ、モルガンスタンレーなどウォールストリートの企業が顔を揃えている。

アメリカでは大学を卒業してこれらの会社に入って2年ぐらいガンガン働いて経験を積んでお金を貯め、その後にビジネススクール修士号を取る。次に就職するときにはビッグマネーを稼ぐプロフェッショナル、というコースが”出来るビジネスマン”への道。そのための入り口として、これらの企業は人気が高いということなのだろう。

さすがに今年のTOP100には、自動車ビッグスリーはひとつも入っていない。自動車ではBMWが26位、トヨタが43位、ホンダが68位に入っていた。日本企業ではこの他にソニーが28位。

IT系では、TOP3のグーグル、アップルの他、マイクロソフト12位、IBM35位、アマゾン48位、ヤフー52位、インテル54位、デル73位、シスコシステムズ79位、イーベイ(ネットオークション)80位、ヒューレットパッカード82位、アドビシステムズ88位、テキサスインストルメント99位と、かなりの割合を占める。

いわゆるメーカー、モノを作っている企業では15位のナイキが最高。モノ作りは魅力的な産業ではないということか。面白いなと思ったのは、17位にMajor League Baseballメジャーリーグ野球機構がつけていること。大学を出てメジャーリーグ職員になるという道が人気が高いというわけだ。

まあ人気ランキングだし、アメリカの場合、大学を卒業して就職する会社に一生勤めるつもりの学生はまずいないから、取りあえず面白そうな会社、転職に有利そうな会社、経験を積めそうな企業に人気が集まる。それにしても「寄らば大樹の陰」じゃないけれど「つぶれない政府機関・公的機関」がこれほど人気なのが、何より今年の世相を反映していると言えそうだ。

ところで、こうしてランキングには華やかな企業や機関が並んだが、実際には大学を卒業しても就職先がないのが、今年の現実みたいだ。全米平均からすればそれでもワシントンは就職口が多いと思われているらしく、地方の大学を卒業して就職活動でワシントンに来ているという若者の話をよく聞く。ランキングに登場する学生憧れの企業・機関に就職できるのは、本当にわずか一握りの優秀な学生。あとの大半は、なんとか仕事にありつこうと、必死の就職活動が続くというのが、洋の東西を問わず、今年の大学卒業生の現実のようだ。

http://www.universumglobal.com/IDEAL-Companies-Rankings/The-National-Editions/American-Graduate-Survey
ユニバーサムの調査データはこちら。「Field of Study」でtotalを選ぶと総合ランキングが表示されます。