JAM スイングジャズで跳ね回る子供たち

桜祭りは終わりましたが、4月のワシントンは、JAM--Jazz Appreciation Monthです。ジャズ鑑賞月間とでも言うのかな。あちこちでジャズの演奏会が開かれています。主催は、首都ワシントンに数多くの博物館・美術館を展開するスミソニアン協会。昨日は雨で最高気温10度と4月にしては寒い一日でしたが、最近お気に入りのAmerican Art MuseumでJAMのコンサートがあるというので、夕方から出かけてみました。

American Art Museumは口の字の形の4階建ての建物で、口の字の内側はガラス天井をかぶせたアトリウムになっている。サッカーのピッチくらいの広い空間は、テーブルと椅子がゆったりした間隔でおいてあるカフェ。ここは観光客が押し寄せる類の博物館ではなく、夜7時まで開いていて静かなので、パソコンを持ち込んで仕事をしたり、本を読んだりしている人が多い。ワシントンのど真ん中で静かな時間を過ごせる穴場といっていい。

そのアトリウムに特設された舞台でビッグバンドジャズのコンサートが夕方5時から行われた。5時過ぎに着いてみると、舞台に近いテーブルはほぼ埋まっていたが少し離れたテーブルが空いていた。
今日の演奏はBlues Alley Youth Orchestra。ワシントンに古くからあるジャズクラブBlues Alleyとディジー・ガレスピーが設立したBlues Alley Jazz Societyに所属して活動する10代の若者達のジャズバンドだ。司会者によると「今日のメンバーは13歳から18歳」とのこと。まだあどけない顔の少年少女たちなのに、プロを目指して本格的に鍛えられているだけあって、うまい。白人も黒人も東洋系も人種は雑多(ワシントンらしい)で、男女比率は3割くらいが女性。
全員の20人ほどのビッグバンド演奏のあと、4〜5人のカルテット、クインテット構成、ギターソロ、トランペットソロ、ボーカルを入れた演奏などなど、様々にメンバーを変え、スタイルを変えながら、演奏が続いていく。
Take the 'A' Trainなど誰でも知っているメジャーな曲を中心に、夏に向かう季節柄「イパネマの娘」とか「おいしい水」とかボサノバの名曲もやっていました。

聞いている人たちは、メンバーの家族・関係者に加え、美術館展示を見に来たついでに聞いている人たち、仕事帰りに寄った人たちとさまざま。カフェで飲み物を買って好きな場所に陣取って聞いている。本を読みながら、仕事をしながら、PCや携帯にテキストを打ち込みながらなど、ながら族も多い。おしゃべりに夢中というグループもいる。
目立つのはファミリーで来ている人たち。2〜3歳くらいの小さな子供たちが、スイングジャズに合わせて走り回り、飛び跳ね、踊っている。普通ジャズのコンサートでは見られない光景。子供たち、ちゃんと音楽を聴いていて、音楽が止むと動きが止まるし、音楽がスイングしてくると動きが激しくなる。
そうか、こうして子供の時からジャズのリズムが体に染みこんで、やがて10代でステージに立つプレーヤーが育っていくんだ。ジャズは訳知り顔で聴く大人の音楽ではなかったんだ、と新鮮な驚き。
そうそう、トイレに行ったとき、隣り合わせの個室に入っている二人が歌っていた。一人がメロディをスキャットし、もう一人が口笛で合わせてハモっている。ノリノリで出てきた二人の顔をみたら、20代後半のヤングママという雰囲気。歌いながら手を洗って出ていきました。

カジュアルな雰囲気で、フリーのジャズ演奏を堪能した春の夕べでした。