ワシントンは興奮状態

Newsem前の大混雑

Iauguration前日 何もないのに100万人?

大統領就任式の前日、1月19日(月)は「マーチン・ルーサー・キングDay」という祝日。オバマ次期大統領の大きな公式行事はない。ワシントン中心部の警備がそんなに厳しくないので、様子を見に行ってきた。昨日のキックオフコンサートの人出が50万だそうだが、その後も全米から人が集まってきているようで、何もないのに議事堂のまわりもホワイトハウスのまわりも、あるいは、明日の就任式で一般観衆が集まるナショナル・モールと呼ばれる広大な広場も人で埋まっていた。

いろんなところでメディアのレポーターとカメラマンが中継をしていて、集まっている人たちにマイクを向ける。アメリカ国内ばかりでなく、英語以外の言葉のメディアもいくつか見かけた。どこから来たのとマイクを向けられると、カリフォルニア、テキサス、フロリダ、メインなどなど全米の隅々から人が集まっている。黒人の家族連れやグループが多いが、人種を問わず若者たち、中高年の白人カップル、アジア系、ヒスパニック系とあらゆる人々が集まっている感じ。感想を聞くと「This is amazing」「Awesome!」「Dreams come true」などエモーショナルな答えが返ってくる。みんなハイテンションで、ある種の興奮状態。

通りですれ違った黒人の女性がスケッチブックを抱えていて、出会った人にメッセージを書いてもらっていると言う。どこからきたの?と聞かれて、Japanと答えると、いたく感動されて日本語で書いてくれと頼まれた。
Hope 希望、Pres. Obama! オバマ大統領と書いて、日本にはオバマという名前の町があるのよと言うと、抱きつかれた。Hopeはオバマのキャンペーンで若者たちが好んで使ったキーワード。選挙に勝ったときにはHope Won! (希望の勝利)というメッセージのTシャツが出回った。彼女のスケッチブックにメッセージを書き終えて別れるとき、God bless you!と声をかけられた。God bless you,too!と返事をして、ちょっと良い気分。

実は、就任式をしっかり見届けようと決めて動き出したものの、誰もが何かをしなくてはいられない感じで本当にいろいろなイベントが同時進行し、リベラルを標榜する人は誰もがワシントンに来ている。コメントをする人たちの言葉はそれぞれに重く意味が深いけれど、集まってくる情報が多すぎて、正直、情報が散逸しないように貯めておくだけで精一杯。

前回のWe are Oneコンサートのレポートにしても、語られた言葉、歌われた歌それぞれの意味を掘り下げれば、それで1冊の本になってしまうくらいの重い情報が詰まっている。けれど、どんな風に進行したかを伝えるのでいっぱいいっぱいでした。

今日見かけたニュースからワシントンの雰囲気を感じてください。
ニューオリンズから来た100歳の黒人のおじいちゃん。ハリケーン・カタリーナで壊滅状態になったニューオリンズでどうにか生き延びて100歳を迎えたら黒人の大統領が決まった。居ても立ってもいられずに家族にワシントンまで連れてきてもらった。60歳くらいになるまで白人と同席することを許されなかった経験があるだけに、その喜びの深さは計り知れない。深いしわが刻まれた顔をくしゃくしゃにして涙をながしていた。

オバマが選挙に勝った日から、生活を切り詰めてお金を貯めてカリフォルニアから来た若い黒人女性。とにかくこの目で確認したいと思った。ワシントンに着いて同じ思いで集まった多くの人と出会って、空を見上げて喜びをかみしめるという。

人生が変わったという女性もいた。毎日朝起きると人生のキリが晴れたように明るいと言う。

とにかくワシントンまで来た多くの人たち。明日の就任式を見るために駆けつけた人たちの中には泊まるところがなく、ナショナルモールの芝生で夜明かしするという人たちが沢山いるらしい。氷点下5度くらいまで気温が下がると心配する警備やメディアの人たちに、気持ちがこんなに熱いのだから大丈夫。これまでの黒人の苦労を思ったら一晩の寒さなど何でもないと元気に盛り上がっていた。