Nieman Marcus

ご無沙汰しました。ちょっと大統領選挙疲れだったりして。
この10日ほど選挙関連で依頼を受けていたレポートや調べごとをしておりました。

ようやく一段落したので、週末は初めて迎えるこの地の冬に備えてショッピング。デパートが3つに専門店が数十も集まっているような巨大なショッピングモールに行くと、まるまる一日つぶれてしまいます。
それにしても、基本的にアメリカで衣料品は日本に比べると3割〜5割安い。すでにクリスマスセールが始まっていることもありますが、ほとんどの店で半額セールにさらに20%引きとか、元の値段は何なの?と言いたくなるような値段で売っています。
冬物をほとんど持ってこなかった我が家にとっては大助かりで、セーターが3枚で5000円とか、まとめ買いです。

そんなアメリカでも、別の世界もあります。大統領選挙の最中に、洋服代が1500万とか話題になった共和党の副大統領候補サラ・ペイリンが、買い物をしまくったと言われた店がNieman Marcus(ニーマン・マーカス)。
昔、いわゆるブランド雑誌の編集を手伝った時に聞いた話。Nieman Marcusと言ったら高級品の代名詞。Nieman Marcusのクリスマスカタログが送られてきたら、それが一流の証(誰に送るかは店が決めるので)。カタログには値段が書いていない。「値段を気にされるようでは、当店でお買い物をなさらないほうが」と言われるとか...
まあ、それは昔話で、今ではちょっと高級なショッピングモールならたいていNieman Marcusが入っている。そこで、今日行ったモールのNieman Marcusを冷やかしてみました。

紳士服売り場。確かにすごく手触りのいい皮のコートとか趣味のいいスーツがおかれている。いいなと思うものを手にとってラベルを見ると、噂どおり、値札がついていない!
Saleと書かれたコーナーにあるものには値札がついていて、何の変哲もないポロシャツが1枚600ドル(6万円)。推して知るべし!ということか。

家人がちょっとチャレンジ。慇懃に声をかけてきたスーツ売り場の初老の店員に「誂えのスーツを作ってもらえるのか、参考までに聞きたい」と言うと、(日本人は金持ちでわがままを言わない扱いやすい客だと思われていますから)ソファに案内され、生地見本が何冊も出てきた。濃紺に白のストライプの生地を選んで、これでスーツを作ったらHow much? と聞いてみた。初老の店員、奥からプライスリストを持ってきて、生地の品番と照らし合わせ、シングルの2ピース(上着とズボン)スーツで6000ドル(60万円)と答え、最高級の生地を最高の仕立てで作りますから、と言う。

サラ・ペイリンの洋服代が2ヶ月で1500万になったのもうなずける。アメリカには3枚50ドルのセーターが当然と思っている90%超の人々の他に、Nieman Marcusで値段を気にせず買い物が出来る人たちも大勢いるというわけだ。その格差は、日本が格差社会を問題にする比ではない。American Dreamは、格差があるゆえに語られ、成功すると「証」を求めたくなるということか。

で、アラスカ州知事の仕事に戻ったサラ・ペイリン、1500万円分のスーツはDonate(寄付)に出されるそうですが、生活に困っている人が1着数十万のスーツを寄付してもらってもねえ...