SUMMERTIME BLUES

11月2日の早朝、アメリカは夏時間が冬時間に切り替わって午前2時が午前1時に時計が戻ります。この夏時間、日本ではカタカナでサマータイムと呼ばれたりしていますが、アメリカでSummertimeはただ単に「夏」のこと。夏時間はDaylight Savingsといいます。昼間の時間を長く使うのが目的ですから。

で、夏時間が冬時間に切り替わるのですが、心配なのが、いくつもの時計を設定し直さなければならないこと。コンピュータ・携帯電話などはおそらく自動的に切り替わるはずですが、腕時計や壁掛けの時計はもちろん、オーブン・電子レンジ・炊飯器・カメラなど時計を内蔵している機器の多いこと。これ全部の設定を明日の朝に直すのかと思うと”Summertime Blue”になるなと思って表題をSummertime Bluesにしてみました。

それに“Summertime Blues”は好きな曲のひとつ。Eddie Cochranのバージョンがオリジナルですが、中学時代、夏休みは毎日自転車で江ノ島に通ってビーチガールをしていた頃、Beach Boys版のSummertime Bluesに出会って以来、My Favorite Songのひとつ。下記で聞けます。
http://www.lastfm.jp/music/The+Beach+Boys/_/Summertime+Blues

さてDaylight Savingsについて今朝のワシントンポストに面白い記事が出ていました。 以下はおおざっぱな要約。( )内は私の感想。全文を読みたい方は以下URLで
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/10/31/AR2008103103692.html

【単に「時間の問題」というわけではなく..】

夏時間の制度はアメリカでもヨーロッパでも「先進国」では当然とされているが、世界には当然ではないところもある。まず日本は夏時間をやっていない。1948年〜52年アメリカ軍が占領していた期間に行われただけで軍の撤収とともに制度がなくなり、その後、議論には上るが実施されたことはない。夏時間の制度が占領時代を思い起こさせるからだ。(いやほとんどの人は夏時間があったことさえ知らないと思うよ)

また中国にも夏時間の制度はない。それどころか広い中国は全土が北京の時間に統一され、朝の9時がまだ夜明け前だったり、実際には午後の地方があったりする。(わあ、中国的!)
ネパールは、周囲のインド、中国、バングラデシュとは違う独自性を保つため、ずらす時間を15分にしている。(ややこしい!) イランは政権が変わるたびに夏時間になったり止めたりを繰り返している。ロシアは、スターリンの時代に夏時間が実施されたが秋になって時間を戻すのが忘れられ、その後60年間、夏時間のままだった。(なんとロシア的!!)

カナダは州ごとに夏時間を行うかどうか決める権利が認められているが、結局のところカナダ人はアメリカに合わせている。しかし、きちんと時間を戻すことを忘れないのは英国系の人たちだけだ。(フランス語圏はめちゃくちゃってことか?)
アメリカでも異端はいる。アリゾナとハワイは夏時間の制度を取り入れていない。郡によってタイムゾーンが変わるインディアナ州では、2005年にすべての郡で夏時間を取り入れるという州法を可決したばかりだ。(アリゾナはマーベリック(異端)を標榜するマケインさんの地元です)

時計を進めたり戻したりするとtime savingできるという考えはまったくばかげたことなのだけど、この制度で助かった命もある。
1999年にイスラエルヨルダン川左岸に時限爆弾を仕掛けたテロリストがいた。ちょうどイスラエルが夏時間を標準時間に戻したばかりで、テロリストたちはそれに気づかなかったため、結果的に人の集まる前に爆発が起きて犠牲者はテロリストたち自身だけだったという事件があった。


さてさて、Daylight Savingsの実施が先進国の証だという意見には賛成できないけど、明日の朝はSummertime Bluesを聞きながら家中の時計を直して回ろう。