SWING STATE

10月13日(月)は、日本は体育の日の祝日。アメリカは、コロンバス・デイというコロンブスアメリカ大陸発見を記念する祝日でこちらも三連休でした。だいぶ秋が深まって木々は色づき、散歩が気持ちのよい休日でした。

祝日でしたけどニューヨークの株式市場は開いていて(この辺の仕組みがアメリカはよく分からない。市場が休む祝日もあるし今日のように開いている祝日もある)、株価が急反発、史上最大の上げ幅だとか。連休明けの東京市場も急反発しているとCNNが伝えています。

さて大統領選は最終盤。オバマとマケインの支持率が10ポイント開いて、形勢はオバマに傾いているようだが、選挙は、特にアメリカの大統領選挙は、終わるまで分からない。2000年も2004年も、事前の調査では民主党有利、ブッシュの共和党が苦戦していた。ところが終わってみれば結局ブッシュ/共和党の勝利。これは、州ごとに人口配分で割り当てられている票数が、その州で優勢だった候補に全部行ってしまう総取り方式がなせるワザ。共和党の強さは根強い、ということらしい。
ところが、ここ数日、CNNなどの票読みを見ていると、オバマがほぼ固めた票が264、マケインが176とかで、270票で当選なのでオバマはあと1州を何とかすれば当選が決まる、と伝えている。

そこで注目されるのがSwing Stateと呼ばれる、共和党民主党の支持がほぼ拮抗していてどちらに振れるか分からない州。我が家のあるバージニア州もそのひとつ。他に、コロラド、フロリダ、ネバダなど10州ほどがSwing Stateとされている。前回選挙ではどの州もブッシュがわずか数パーセントの票差で勝っている。

マケイン民主党はSwing Stateの票固めに力を入れているようだが、どの州も人口の多い都市部は民主党オバマ支持、保守的な農村部は共和党マケイン支持の傾向。私の住んでいるバージニア州アーリントンはまさしく都市部で、クルマに貼られているステッカーも、住宅街を歩いていて庭先におかれている看板も10対1くらいの割合でオバマが圧倒的に多い。どの州も都市部人口が増えているので、今回は共和党は苦戦するのではないかというのがアナリストたちの見方だ。

マケイン陣営は支持を固めていない「無党派層」を獲得する必要があるわけだが、形勢は良くない。まず経済政策はマケインよりオバマが強いとされて、この経済危機に支持を拡大するのは難しい。また昨日、副大統領候補のサラ・ペイリンアラスカ州知事の地位を利用して妹の離婚した夫を首にさせた(実際にはサラ・ペイリンの夫が担当者に圧力をかけたらしい)という州警察の調査結果が発表された。さらに、ここ1週間ほどオバマ批判のネガティブキャンペーンのトーンを強めてきたのだが、これが逆に支持率を下げる要因になっていることが各種の調査結果で現れている。(そんなこんなで、言いたい放題だったサラ・ペイリンもすっかりトーンダウンしている)

一方オバマ陣営は、副大統領候補ジョー・バイデンの遊説先にビル&ヒラリー・クリントン夫妻が揃って現れてオバマ支持を訴えて大いに盛り上がったらしい。また(これは夕食の支度をしながらCBSニュースを片耳で聞いただけの話なのですが)Swing Stateのひとつ、2000年のブッシュ対ゴアの時には票の数え直しまで行われたフロリダ州で(フロリダはアメリカ人が引退したら住む場所として知られシニア人口が多い)、この連休に若者たちが、フロリダのおじいちゃん・おばあちゃんを訪ねたり、電話をして、オバマに投票するように説得しているそうだ。若者たちは圧倒的にオバマ支持だから。

そしてあと3週間に迫った選挙で、やっぱり争点として上がってきたのが「人種問題」。「本当に黒人大統領でいいのか」というワケだ。CNNが伝えた調査結果が興味深かった。「黒人だから」という理由でオバマには投票しないと答えた人と、「黒人だから」という理由でオバマに投票すると答えた人が、ほぼ同じくらいだった。「人種問題」は両側に作用する訳だ。また、誰に投票するかは関係なく、もしオバマが大統領に決まったら「オバマ大統領はアメリカの大統領として好感が持てるか」という問いには(正確な数字は忘れましたが)8割くらいの人がYesと答えているという。

個人的には、アメリカは変わった方がいいと思っているのと、この機会を逃したら黒人大統領が誕生することは当分ないだろうし、女性大統領誕生の可能性も減ってしまうだろうから、リーダーとしての能力は分かりませんが、オバマ大統領を見てみたい。アメリカがどう変わるのか、それを見ていたい。ごくごく野次馬的な興味に過ぎませんが、その場にいる機会に恵まれた訳だから、ぜひ“Change“をこの目で確認したいと思っているわけです。