アメリカのネット/ケーブル局の勢力分布

10月2日に行われたジョー・バイデンサラ・ペイリンの副大統領候補ディベートの視聴率が発表された。全米で7300万人がこのディベートを見たという。全米の人口はほぼ3億人。ほぼ4人に1人が見たことになる。これを超えるディベート視聴率は1980年のカーター対レーガンの8100万人という記録しかない。

「副」でない大統領候補ディベートの1回目、9月26日の視聴率は、予想を下回って視聴者数5240万人だったそうだから、いかに「副」ディベートに注目が集まったかがわかる。まあ、政治的興味より、野次馬的ワイドショー的興味だったのでしょうが、それでもね。(ちなみに過去最高視聴率のカーター対レーガンだって、レーガンがハリウッド俳優だったからね)

テレビ視聴率調査のニールセンのデータを紹介するワシントンポスト紙の記事によれば、最も視聴率の高かった都市は、ワシントンの北に隣接するメリーランド州ボルチモアで、59%の世帯がディベートを視聴。首都ワシントンは51%だったそうです。

ディベートを放映したテレビ局は、ABC、CBSNBC、FOX、FOX News、CNN、MSNBC、CNBC、Telemundo、TeleFutura、BBC America、PBSの各局。これだけ多くのテレビ局が放送するわけですが、どの局にどのくらい視聴率があったのか、そのデータを拾ってみました。

最も多く見られたのがABCで、1310万人が視聴した。僅差でNBCが1280万人。CBSとFNC(FOX News Channel)が1110万人、FNCは、開局12周年を迎えたばかりのチャンネルで、このディベートで局としての最高視聴率を記録したそうだ。CNNで見た人は1070万人で、特に18歳から34歳の世代では、ケーブルニュース史上最も多くの人がチャンネルを合わせ、320万人がCNNを視聴した。(ニュースチャンネルでない)ネット局のFOXが450万人、MSNBCで見た人は440万人だったそうだ。

ライブ中継のディベートの中身は編集しようがないから、どの局で見ても同じ内容。そうなると多くの視聴者は、前後の番組を見ていたとか、番組司会者に親しみを持っているとか、普段見慣れている局にチャンネルを合わせるだろう。なので、アメリカのテレビ局の勢力分布が反映されるのではないか、と思ったわけです。

結果を見るとABC、CBSNBCの古くからの3大ネット局の勢力はほぼ均衡状態。ニュース局としてFOX Newsの視聴率が高かったのにちょっとびっくりでした。ネット局のFOXはもともとエンターテイメント系に強いので、この手の番組でチャンネルを合わせる人は少なかったということかな。マイクロソフトNBCが共同で運営するニュース専門チャンネルMSNBCは、まだそれほど視聴者に浸透していないようですね。(MSNBCの開局はFOXNewsと同じ1996年だそうですけれど)

というわけで、大統領ディベートのサイドライン・レポートでした。