NATIONAL BOOK FESTIVAL

9月27日(土)、ワシントンの中心部、The Mallと呼ばれる国会議事堂前から数キロにわたって続く広大な芝生の広場で、NATIONAL BOOK FESTIVALが開かれていました。
これは、議会図書館とローラ・ブッシュ大統領夫人が主催するイベント。「ブックフェスティバル」と呼ばれるイベントは、出版社と作家、取次業者など業界の見本市であることが多いですが、ワシントンのBOOK FESTIVALはすべて一般向け。国民に読書習慣を持ってもらうことを目的とした催しです。各分野から著名作家が70名以上参加しているとのことで、講演会、サイン会が大盛況でした。

←あなたの愛読書は?

FICTION & MYSTERY, HISTORY & BIOGRAPHY, CHILDREN, TEENS & CHILDREN, POETRY, HOME & FAMILY などジャンル別のパビリオン(大きなテント)が立てられ、それぞれのパビリオンの演台では有名作家の講演会が行われている。どの時間に誰が登場するか、時間割を示した看板が入り口に立っていて、子供向けのパビリオンでは作家自らが絵本を読んで聞かせたりゲームをしたり。
他に議会図書館のパビリオンでは「あなたの愛読書」を自由に書けるボードが置かれ、カラフルなペンで愛読書を書き込む人が絶えない。全米50州のブースが並ぶパビリオンがあり、50州のスタンプラリーが出来るようになっていて、入り口でもらったカラフルな全米地図を各ブースに差し出すと地図上にスタンプを押すかステッカーを貼ってくれる。このパビリオンでは、いくつかの州でトラベルマップやガイドブックを手に入れましたが、あまりの混雑に50州全部を回るのは断念しました。

←サイン会会場は大行列(後ろは国会議事堂)

特設のブックストアは長蛇の列。ブックストアで本を買って作家のサインをもらおうという人でごったがえしている。サイン会会場にはブースが16くらい並び、時間割が決まっていて、現在進行中のサイン会の行列の他に、次のサイン会用の行列を作る場所も別に出来ていて、こちらにも長い行列。その熱気にいささかびっくりでした。
各パビリオンや展示会場、インフォメーションで、ポスター、トートバック、しおり、定規、マグネット、メモ帳などなどノベルティを配っているところも多く、長い行列のパビリオンでは協賛会社のスタッフがミネラルウォーターを無料で配ってくれる。おそろいのグリーンのTシャツを着たスタッフは、ほとんどがボランティアだという。

アメリカにきてつくづく思うことのひとつに、多分アメリカ人は日本人より平均的読書量が多い。電車の中で携帯メールをしている人はまずいない。世代を問わず本を読んでいる人は非常に多い。見ていると図書館で借りた本を読んでいる人はかなり多い。
分厚いハードカバーの本を広げて、公園の芝生やベンチに座り込んで本を読みふけっている姿は、ごくごく普通の光景。書店にもよるが椅子やソファが置いてあって「座り読み」歓迎のところもある。すごいなあと思ったのは、そういう書店で床に座って本を読みながら持参したパンにバターをぬってハムを挟んでサンドイッチを作って食べていた若い女性を見かけたとき。あれもOKなんだ、とショーゲキでした。(お店的にはOKじゃないのかもしれないけど)
図書館は夜9時10時まで開いていて本を借りるのは簡単。いっぺんに借りられる本の冊数に制限がない(!)。時間的な制限は3週間だけど、1週間ずつ3回まで延長が可能。子供の絵本を十冊単位で借りだしていくファミリーもよく見かける。

本に親しむ習慣を社会をあげて支援する。この辺はかなわないなあ、と思うところです。まあ、文科省の大臣経験者が「日教組をぶっつぶせ」と公言してはばからない国みたいだから、救いがたいというか...。良質のリテラシーを国民に持ってもらうことこそ、文科省の役割だと思うのですが?