Isn’t She Lovely? 〜 Love Train

アメリカ大統領選は、共和党ジョン・マケインが、副題党候補を発表した。これがサプライズ。
サラ・ペイリン44歳、アラスカ州知事。アラスカ初の女性州知事になってまだ2年。その前は人口1万人にも満たない小さな町の市長。旦那さんは漁師。5人の子供の母親。アラスカ生まれで狩りと釣りに親しみ、銃規制に反対、中絶反対というゴリゴリの保守派。州警察に勤める義兄が首にならないように、知事職権でその上司を首にした疑惑が持たれていて捜査中だとのこと。共和党員ながら自分の意見は曲げない「異端児」と見られている。 この若くて美人で強い女性の起用で、ヒラリー・クリントン支持の女性票を獲得するのが狙いとされている。
最初の印象は、よくこんな人がいたなあ、と感心したけど、よくよく考えてみれば、国政の経験なし外交も安全保障も経験なし。副大統領といえば大統領の身に何かあったら自動的に大統領職に昇格するポジション。マケインさんが選挙に勝てば就任時最高齢の大統領になる。「万一」のリスクはとても高い。それでいいのか?
案の定、発表が昨日のお昼頃で、夕方までにはネットの書き込みなどで「彼女でヒラリーの票が1票だって動くと思ったら大間違い。女性をバカにしているわ」とか「ホントに彼女が大統領になったらどうするんだ!」など反対意見が続々。ニュース番組でインタビューを受ける共和党議員さんたちは防戦一方だったけど、なんか説得力なかった。「だって彼女は5人の子供を育てながら知事職をこなしている」という説明は「だから大統領が務まる」という論理にはつながらないものね。
月曜日から始める共和党大会は、身内の大会だから反対意見が出てくることはないでしょうが、民主党大会ほど盛り上がるかどうか。大きなハリケーンも来ているし、もしかしたら延期されるらしい。

さてさて、実はここまで前置き。先日の民主党大会のサイドラインのレポートをしようと思っていました。
民主党大会はすごくショーアップが上手でスピーチをしに出てくる人たちを迎える音楽がそれぞれ凝っていて面白いなあと思っていたら、それに関する記事がワシントンポストに載っていた。誰にどんな音楽が使われていたのか拾ってみました。原曲が聴けるサイトをリンクさせてあります。興味のある方は聞いてみて下さい。
初日の目玉スピーカー、オバマ夫人のミシェルが登場したときの音楽は
Stevie Wonder の Isn't She Lovely?
http://www.jango.com/music/697-Stevie-Wonder?l=0
Isn't she lovely Isn't she wonderful Isn't she precious Isn't she pretty...
女性のかわいらしさを称える言葉が続くこの歌は、本当はスティービー・ワンダーが、愛娘が生まれた時に作ったものだそうです。

ヒラリー・クリントンにはTom PettyのAmerican Girl
http://www.jango.com/music/6266-Tom-Petty?l=0

Well she was an American girl Raised on promises She couldn't help thinkin' That there was a little more to life somewhere else
多くを約束されたアメリカンガールなんだから、もっと何かあると思っても当然だよね。

副大統領候補のジョー・バイデンには、Bruce Springsteen のThe Risingでした。
http://www.jango.com/music/223-Bruce-Springsteen?l=0
Can't see nothin' in front of me Can't see nothin' coming up behind 
I make my way through this darkness I can't feel nothing but this chain that binds me
Lost track of how far I've gone How far I've gone, how high I've climbed
一人で道を切り開いて登りつめた男の歌ですね。Bruce Springsteenアメリカの魂ですものね。

オバマの登場に使われたのは Brooks And DunnのOnly in America
http://www.jango.com/music/2476-Brooks-Dunn?l=0
次期大統領にはぴったりの歌詞ですね。red, white and blueはアメリカ国旗のことです。

One kid dreams of fame and fortune
One kid helps pay the rent
One could end up going to prison
One just might be president
Only in America
Dreaming in red, white and blue

エドワード・ケネディ:最近、脳腫瘍の手術を受けたことがニュースになっていたケネディ家の四男は、民主党の重鎮で党内のまとめ役。(ケネディ家の威光は健在で、この民主党大会を仕切っているのがジョン・F・ケネディの娘キャロラインです)
高齢のテッド(エドワード)ケネディを迎えた音楽は、 Still The One(Orleans)
http://www.links2love.com/love_lyrics_184.htm
「長いこと一緒にいるけど、二度と顔を見たくないと思うこともあるけど、それでも今でも君は最愛の人」という意味のラブソング。キャリアの長い政治家の登場にぴったりの感じなのですね。OrleansのJohn HallはいまNY州選出の下院議員(民主党)。ブッシュ(共和党)が2004年の選挙の時にこの曲を使おうとした時、John Hallは使用中止を申し入れたそうです。

そしてビル・クリントンは、16年前の自身の選挙戦で使った曲。ヒット曲をテーマソングに使って盛り上げる手法のお手本となったあの曲を今回も使っていました。
http://www.jango.com/music/2420-Fleetwood-Mac?l=0
Don't Stop(thinking about tomorrow)  Fleetwood Mac

Don't stop, thinking about tomorrow,
Don't stop, it'll soon be here,
It'll be, better than before,
Yesterday's gone, yesterday's gone.

この歌詞は、使えますよね。 「止まらないで、明日のことを考えよう。止まらないで、明日はすぐそこだから。明日は昨日より良くなるから。昨日は終わった、昨日はもう終わったのだから」


さて、オバマとバイデンが家族と一緒に登場した後に聴衆と握手をしながら帰って行くときの音楽は 「世界中のみんな、手を取り合ってラブトレインを始めよう!」という歌詞のソウルの名曲ラブ・トレインでした。 O'Jays   Love Train
http://www.youtube.com/watch?v=eEUKW99ohuw
People all over the world (everybody)  Join hands (join)  Start a love train, love train  People all over the world (all the world, now)

というわけで、大統領選に使われる懐かしのヒット曲シリーズ、いかがでしたか?