人々の悩み事・好きなアイスクリーム:Nielsenの広告から

8月3日(日)ニューヨークタイムズ日曜版についていた「The New York Times Sports Magazine」から
日曜版の新聞には、トップセクション、ビジネス、スポーツ、スタイル、アート、コミックなどのセクションがあるほかに、1週間分のTVガイド(小冊子)とブックレビュー(これも小冊子)、さらに全ページカラー刷りのマガジンがついてきます。マガジンはその時々のテーマによる特集や評論・コラムなど。地元紙ワシントンポストはこれら全部合わせて1ドル50セント、日曜版だけ定期購読を年間契約すると1週あたり50セントくらいになる。その情報量に比べてとても安い。
一方、ニューヨークタイムズは地元紙ではないので5ドルと高いですが(それでも情報量を考えたらべらぼうに安い気がする)、経済・文化でアメリカをリードする大都市の新聞。情報が濃くて掲載されている広告が華やか。記事やコラムも(政治の都市ワシントンの新聞に比べると)洒落ていて面白い。
今週は北京オリンピック直前なので、ニューヨークタイムズには通常のマガジンに加えてスポーツマガジン「PLAY」も北京五輪特集。で、紹介したいのが、このマガジンの記事でななくて広告。全76ページのマガジンに入っているすべての広告が調査会社ニールセンのもので、とても面白い。Neilsen Pop Quize というPopなイラストとともに出題されるクイズ形式の広告が、全部で19種類(ページ数にして25ページくらい)。どれもニールセンが持っているデータを紹介している。
※データ好きな私としては、マガジンの記事のほうは読まずに、この広告だけ丹念に読んでしまいました。面白そうなデータだけ拾ってみると;
●まずオリンピック関連のデータ(アメリカではオリンピック放送はNBCがずっと独占している)
オリンピック開催地/年 NBCの放送時間             30秒CMのスポット料金
1996年アトランタ 177時間                   222,600ドル(240万円)
2000年シドニー  441時間                   275,000ドル(297万円)       
2004年アテネ   1210時間                   339,300ドル(366万円)
2008年北京    3600時間(ネット放送とデジタル放送を含む) 過去最高(まだ公表されていない)
●人々の悩み事(世界各国の調査から、心配事のボリューム)

1位 経済(Economy)20% 2位 仕事と生活(Work Life Balance)15% 3位 仕事の安定(Job Security)10%
4位 健康(Health) 9%  子供の教育(Children's Welfare/Education)9%
5位 借金(Debt)  8%
6位 地球温暖化(Global Warming) 4% 政治の安定(Political Stability) 4% 親の生活(Parents Welfare) 4%
7位 犯罪(Crime) 3%    
アメリカ人が好きなアイスクリームの味TOP7 

1位 バターピーカン   2位 ミントチョコレート
3位 ナポレオン(バニラ・ストロベリー・チョコレートの三色アイス)
4位 ロッキーロード(チョコレート味のアイスにチョコチップやナッツ、マシュマロがゴロゴロ入っている)
5位 クッキー&クリーム 6位 チョコレートチップ   7位 ストロベリー
●映像が見られる機器の増加でテレビ視聴は減っているか?(このあたりは、いかにもニールセンの広告)
・ニールセンの最新調査では、アメリカの平均世帯のテレビ視聴時間(テレビがついている時間)は、1世帯あたり8時間25分で過去最高。
アメリカの家庭が持つテレビ受像器の数は、一人当たり1.1台。
アメリカのインターネットユーザーは1ヶ月に26時間強をネットサーフィンに使っている。ネットで映像を見ている時間は1ヶ月当たり2.5時間。
・正午から午後2時がインターネットでTVを見る「プライムタイム」。ランチタイムにネットTVを見る人はネットTV視聴者全体の50%を超える。
・今年4月で携帯電話保有者の36%、9100万人が映像再生機能をもつ端末を持ち、携帯電話で映像を見る人の平均視聴時間は1ヶ月あたり3時間15分。
※つまり、やっぱりテレビを見ている時間が圧倒的に多いということですね。
ちなみにNielsenはもともとアメリカの会社ですが、1999年にオランダのメディアグループVNUに買収されて傘下に。VNUはヒットチャートで有名なBillBoardやHollywood Reportなど人気メディアを持ち、Googleとも提携関係にある。
ニールセンはこのPop Quizeの最後、No.19で「世界有数の情報会社として何カ国で業務を行っていると思いますか」というクイズを出していて、その答えは102カ国。

つまり、どんな国のマーケットのことも何でもニールセンに聞いて下さい!(Just Ask Nielsen!)という締めで終わっています。
オリンピック特集の「The New York Times Sports Magazine」に、ある意味、記事より面白い洒落た仕掛けの広告。なかなかのものでした。