アメリカの良心 ティム・ラッセル逝く

東北地方で大きな地震があったそうです。みなさん、ご無事でしょうか?
日本のメディアは地震報道一色になっていると思いますが、アメリカは、毎週日曜日朝の番組で長年お茶の間に親しまれた有名ジャーナリストが心臓発作で倒れ、亡くなったニュース一色です。アメリカで最も長く続いている番組ミート・ザ・プレス。NBCのインタビュー番組で17年間司会を務めたティム・ラッセルTim Russert。享年58。
ティム・ラッセルは、気鋭のジャーナリストというより、まあるい顔の温厚そうな陽気なおじさん。大統領であれローマ法王であれ(ローマ法王にインタビューしたアメリカ唯一のジャーナリストだそうです)、誰にでも一番聞きにくいことを、ユーモアを失わず、嫌な感じを与えずに聞いてしまうインタビューの達人で、アメリカの政治報道に多大な影響力のある人だった。
TIME誌が最近発表した「世界で最も影響力のある100人」に選ばれて「何百万ものアメリカ人が政治動向を知るために毎週日曜日に彼の話を聞いている。彼のインタビューを受けなければ大統領選では戦えない」と書かれていた。
同時にFamily Manで、父親のことや父親であることをテーマに書いた本がベストセラーになり、父の日直前の訃報にどの書店でも彼の本は売り切れだという。さらに大のスポーツファンで、どんなに忙しくてもひいきチームの大事な試合には足を運んでスポーツ選手との親交も深かった。
彼の在籍したNBCはずっと追悼番組。CNNも今夜はほとんどの時間がティム・ラッセル追悼。ライバル局ABC・CBS・FOXでも、長い時間を割いてこのニュースを報道している。ブッシュもオバマもマケインも、他局のライバルキャスターたちからも、本当に偉大なジャーナリストだった。彼のようなBIG MANには二度と会えないだろう、と突然の死を悼むコメントが続いている。
アメリカの良心を失ったよう」「今年の選挙にティム・ラッセルがいないなんて!」「毎週父と一緒にミート・ザ・プレスを見るのが長年の習慣だったのに」などなど街頭インタビューで涙ぐむ若い女性もいるくらい、誰にも愛されたジャーナリストだった。
日本には、ここまで誰にも親しまれ愛されたジャーナリストやニュースキャスターは見あたらないのでは? 久米さんも筑紫さんも、関口さんも紳助さんも、ティム・ラッセルには及ばない。彼みたいなパーソナリティが出てこられない仕組みが、日本にはあるのかな。
ティム・ラッセルはアメリカでは本当に大きな存在だったと思いますが、日本ではニュースにならない話題だろうと思って、紹介してみました。