NYT・WP 6月8日日曜版:撤退表明を受けて

ニューヨークタイムズワシントンポスト、日曜版読み比べ6月8日版です。

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今日は2誌ともトップは同じ。写真もほぼ同じ。昨日のヒラリー・クリントンの大統領選からの撤退表明の様子を伝えている。 6月4日のサウスダコタとモンタナの最後の予備選の結果、過半数が確実になったオバマに対して、ヒラリー・クリントンがいつ撤退し、どんな態度を取るかが注目されていた。6日夜にオバマクリントンの二人だけの会談があって、開けて7日土曜日、ヒラリー・クリントンはワシントンの「国立建築博物館(National Building Museum)で集会を開いて、正式に撤退を表明した。

彼女のスピーチ、中継で見たのですが、なかなか素晴らしかった。
「この大統領選挙に名乗りを上げた後、どこに行っても女性に大統領が務まるのかと聞かれた。私はそれに答えを出したと思う。また、黒人が大統領でいいのかという疑問に対してはオバマ議員が答えを出したと思う。オバマ氏と私はともに、この国がさらに良い国になるための進路を阻んでいた壁を突破することに成功した。..この国の子供たちは、黒人でも女性でも大統領になれることを当然のことと思って育っていくでしょう。..われわれの人生、自由、幸福は、みんなが一緒に努力することで守られ、達成される。私たちが今しなければならないことは、オバマ議員に協力して一緒に歴史を作ること、アメリカの歴史の次の章を開くことなのです。私たちが愛するアメリカのために力を合わせることなのです」みたいな内容。
開けて翌日の日曜版は2誌ともトップセクションだけでなく、あらゆるセクションに大統領選の関連記事が目立つ。
ニューヨークタイムズのArtセクションは、Televisionという特別セクションを別冊に設けて、9月に発表されるエミー賞(テレビ番組のアカデミー賞みたいな賞)の有力候補の特集なのだけど、「今年のエミー賞は、大統領候補者で文句なし!」というトップ記事。他のどんな番組より予備選挙のニュースを伝える番組が視聴率を取り、普通は政治報道に見向きもしない若者層が特にニュースを見るようになったと伝えている。「今年のエミー賞の主演男優賞はバラク・オバマ、主演女優賞はヒラリー・クリントンで決まり、助演男優賞にはジョン・マケインだ」とまで。

2紙がともにStylesセクションで取り上げているのが、オバマ夫人のミシェル・オバマのファッションについて。
オバマ氏の過半数獲得が確実になった6月4日、勝利宣言スピーチを終えたオバマの隣に立ったミシェル夫人は鮮やかな紫色のノースリープのワンピース姿。大粒の白いパールのネックレスは「(石器時代アニメの)フリントストーンに出てくるウイルマみたい」と表現されていた。 紫色も、ノースリーブも、ワンピースも、あるいはストッキングをはかずに素足でハイヒールを履いているところも、これまでのファーストレディ候補とは違う。自分らしさと「強さ」を表現している、と2紙とも書いている。
ミシェル夫人は「big education」を受けた高収入のエリート弁護士だそうで「私はここに仕事をしにきたのよ」という強い女性を、彼女のスタイルは表しているのだそうだ。スピーチを終えた夫のもとに駆け寄った時の、拳と拳を合わせた挨拶(よく途中交替するスポーツ選手がやりますよね)も、妻よりパートナーであることを示したものだ。自らの意志で新しいファーストレディ像を作ろうとしている、それが変化を求める国民にアピールするだろう、と、2紙とも、ほぼ同じ論調だった。

この他に、ニューヨークタイムズに「カラーテスト:白と黒の境界線はどこか」という特集があり、ワシントンポストは「夢と夢がぶつかる時」というタイトルで、女性解放運動と人種差別撤廃運動の過去の奇跡を検証する特集。クリントンが撤退し、黒人大統領オバマ誕生の可能性が高くなったことに関連する大きな特集記事のセクションを2紙ともに設けている。どちらも長く重たい内容なので、あとでじっくり読もうと思っています。