NEWSEUM

アメリカは、メモリアルデイの三連休。気持ちの良い季候に誘われてワシントン中心部へ。4月にオープンしたばかりのNewseumに行きました。
Newseumは、ご賢察のとおりNewsとMuseumを合わせた造語。ニュース報道に関する博物館です。もっと正確に言うなら「報道の自由」を考える博物館かな。

場所はワシントンのど真ん中。ペンシルベニア大通りに面している。ペンシルベニア大通りは「アメリカのメインストリート」と呼ばれ、国会議事堂からホワイトハウスにつながる道。アメリカの立法府(国会議事堂)と行政府(ホワイトハウス)の間を遮るように「Freedom of Press」を謳うNewseumが作られたことに意味がある。(よく出来たというか、味なことをするというか...)
建物の正面には「Freedom of Press」を認めたアメリカ合衆国憲法修正第一条の条文がくっきりと刻まれている。条文が刻まれた外観をきれいに写真に納めたいのに、街路灯が1本どうしても邪魔をする。行政府の嫌がらせ?と勘ぐるのは考えすぎだとは思うけど。

手荷物チェックを受けてから中に入り、入場料(大人20ドル)を払って見学開始。ガラス張りの直通エレベーターで最上階の6階まで上がる。建物の外にもあるのですが、全米の50州全部と主要国の主要な新聞のその日の第1面がずらりと並んでいる。毎日張り替えるというから、大変手がかかる展示だ。日本の新聞は今朝は朝日新聞でした。

5階は報道の歴史。高校の歴史の時間に習ったトマス・ペインの「コモンセンス」の原本とか貴重な資料に始まって、歴史的な出来事を報道した記録がこれでもかというほど並ぶ。ケネディ暗殺、ジョン・レノン暗殺、ベルリンの壁崩壊、ダイアナ自動車事故、阪神淡路大地震。そしてもちろん、911同時多発テロ911を伝える新聞は、世界中からあつめた100もあろうかという大展示。吹き抜けの壁面にずらっと並んでいる。

新聞の展示の他にちょっとしたブースがいくつも配置され、過去のさまざまなニュース映像を繰り返し上映している。

4階は「5つの自由」の展示。宗教、表現、報道、請願、集会の5つの自由について、いろいろな人の発言が紹介されている。マーチン・ルーサー・キング牧師の有名なスピーチの一節なども映像で見られる。「報道の自由」が保証されている国かどうかを色分けした世界地図があって、日本は「自由な国」に、もちろん分類されていた。

3階はテレビスタジオと、ニューヨーカー誌の風刺漫画などニュース漫画の展示の他に、「ジャーナリスト・メモリアル」として、取材中に命を落とした世界のジャーナリストの名前と写真、業績が見られる。2007年の欄には、ミャンマーで銃撃された長井健司さんがきちんと紹介されていた。

それから、ドイツ国外では最大という「ベルリンの壁」の展示もあります。

2階はキッズコーナー。「be a TV Reporter」コーナーはテレビカメラの前でレポーター体験ができる(有料:8ドル)。他にはパソコンのブースがたくさん並んでいて、質問に答えていくうちに「事実」に基づいた判断が出来ているかをテストできるゲームもある。

1階は特別展示コーナー。今はピューリツアー賞を取った報道写真展。これだけでもかなりの見応え。ひとつずつ説明を読みながら写真を見るだけで半日はつぶれてしまいそう。今日は駆け足で見られただけだった。

館内にはショップやブックストア、有名なシェフがプロデュースしたというカフェテリアもあって、家族連れで1日かけて遊びに来ている人も大勢いたし、真剣にニュースを読みふけっている人、犠牲者の遺族なのか、911展示の前で涙に暮れている人もいた。
何を見るかは人それぞれだけれど、ニュースについて興味があれば、一日を費やす価値のある場所でした。

NEWSEUMについての詳細はこちらへ
http://www.newseum.org/