アメリカ暮らし:食料と食糧、喜々と危機

カリフォルニアで学生時代を過ごしたン十年前と違って、今、アメリカでは、少なくとも大都市周辺では、普通のスーパーに日本の米(スシライスと呼ばれます)、しょうゆ、とうふは必ずおいてある食材。普通のアメリカ人が買っていきます。
ワシントンとその郊外は、世界の人種が集まって住んでいるので、特に食材が豊富になるのかもしれません。

私の住む地下鉄オレンジライン沿線は、とても便利なところで、歩いて5分、10分、15分くらいのところに、それぞれスーパーマーケットがあって、ちょっと遠いスーパーまで足を伸ばせば、本当に何でも揃ってしまう。

例えば15分歩くけれど、高級スーパーのWholeFoodsは、店内にビートルズローリングストーンズ、ジャニス・ジョップリンが流れていて、Organic食材ににこだわっています。こちらでは珍しくバゲットなどフランスパンを店内で焼いていて(おいしい!)、日本の食材ももちろん豊富。

味噌も、ミリンも、梅干しも、鰹節も、海苔も、すし酢も、ソバも、そばつゆも、粉ワサビもありました(納豆はないなあ)。野菜売り場では、里芋を発見。大根、もやしもあります。お菓子コーナーではおせんべいがキャンペーン品になっていました。
あ、冷凍餃子や焼売も見つけました。中国製ではなくて、味の素の製品でした。鮮魚売り場では、切り身でない、スズキとかタイみたいな体長40〜50センチくらいの魚が一匹まるごと買えます。(これはアメリカではかなり珍しい)
夕食はご飯に味噌汁、冷や奴に焼き魚、というメニューがいつでも可能で、食事の面で日本が恋しくなることは、まずなさそうです。

さらに、野菜・果物、肉・魚の生鮮食品が、新鮮でとても安い。日本の水っぽい野菜と違って、野菜の味が濃くてしっかりしている。

そんなアメリカの食事情の光の部分とは反対に、陰の部分にも遭遇しました。

日本以上に所得格差が広がっているアメリカ。原油価格の高騰と、トウモロコシなどをバイオ燃料の材料に転用するようになって穀物市場も高騰。低所得者層のなかに食費をまかなえない人たちが急増しているそうです。

「缶詰など使っていない食品を寄付してください。5月9日(土)に郵便受けの脇に袋に入れて出しておけば職員が回収し、フードバンクが困っている人たちに配布します」というお知らせが郵便受けに入っていました。
CNNでも特集していたのですが、余っている食材を集めて困っている人に再配分するフードバンクというシステム、古くからあって機能してきたものが、最近、食品が底をつき、十分に配布できるだけの食材が集まらなくなっているそうです。

わあ、何でもある、とはしゃいでいる場合ではないか、と思いましたが、アメリカ暮らしを始めたばかりの我が家に余っている食材はなく、協力はできませんでした。